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4/6 テーブルミーティングvol.11 新しいディレクターと+冨井大裕「企画展=収蔵展」ツアー Table Meeting vol. 11 with the new director

2019年度初めてのイベント、テーブルミーティングvol. 11 新しいディレクターと+冨井大裕「企画展=収蔵展」ツアー を開催しました!

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学びの里は桜が満開です。



テーブルミーティングとは、アートだけに限らず、様々なジャンルをテーマに、テーブルを囲んで皆で交流しながら知識見識を深めるプログラムです。
参加者は誰でも発言・意見交換可能で、通常のトークイベントよりもカジュアルな雰囲気です。

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今回のテーマは「新しいディレクターと」。
2019年1月に就任した小澤慶介ディレクターが、アーカスに来てくれる方達に初めてしっかりと自己紹介し、お互いを知る事ができるような会になりました。


大学で仏文学を専攻していた小澤さんは、19世紀末の急速な都市化が進むフランスで、さまざな分野を超えた芸術家たちが思想を共有していたことを知ります。
そうして次第に、では自分が今生きている時代の雰囲気とは何なのかと、現代の思想に興味を持ち始めます。
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アンリ・ファンタン=ラトゥール《ドラクロワ礼賛》

そこで大学院ではロンドンへ留学し現代美術の理論を学びました。
(本当はポストパンクとかのミュージシャンに憧れていてギターを持って渡英)
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90年代のその当時、ロンドンではダミアン・ハーストに代表されるYBA(Young British Artists)が流行っていました。
ハーストは、牛の親子を半分にスライスしてホルマリン漬けにしたりする、センセーショナルで挑発的な作品で有名です。

一方、海を挟んだ大陸のフランスでは、キュレーターのニコラ・ブリオーが「関係性の美学」を提唱し、「物」としてのアートの存在価値ではなく、作品によって生まれた人と人との間の「関係性」に注目する考えが関心を集めていました。

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それから、もう一人重要なキュレーターであるオクウィ・エンヴェゾーについて。ナイジェリア出身で、ヨーロッパの有名な国際展(ドクメンタやヴェニス・ビエンナーレ)のキュレーターなどを務めた彼は、アートの世界に存在する欧米とそれ以外の国々(グローバル・ノースとグローバル・サウス)との文化間格差を縮めていくような取り組みをしました。

日本でも世界的な画家といえば、一般の皆さんはピカソやモネをまず思い浮かべるかもしれませんが、それはメインストリームとされてきた「アート」(とその歴史)が欧米圏で作られてきたものだからです。欧米には、美術館があり、アート作品が所蔵され(元植民地圏から奪ったものも含め)、それを展示してアートとして成り立たせる仕組みがあります。
美術館のような制度がない国ではそういう文化に触れる機会はありません。エンヴェゾーは、国際的な展覧会でアフリカのアートを紹介し、その後の2000年代のアートの一潮流を切り拓いていきました。

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現代アートってなんだろう?という質問までたどり着きました。
難しい問いですが、一つ言えるのは、現代アートとは、同時代を生きる人たちの考えを知ることのできる表象です。確率した一つの判断基準が存在するわけではないので、いろんな展覧会に出かけて、作品の良し悪し、面白いかどうかを批判的に議論することが大事です。


お客さんからもいろいろな質問が出たところで、後半は、もりや学びの里に展示されている冨井大裕さんの作品のツアーに向かいました。
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冨井大裕さんの作品ツアーは、普段から予約制で受け付けております!
ご希望の際はどうぞお早めにご連絡ください。


# by arcus4moriya | 2019-04-06 14:00 | テーブルミーティング
4/5 2019年度アーカスプロジェクト始動!
みなさんこんにちは。石井です。
4月に入りました。新しい年度のスタートです!
2018年度のレジデントが帰国してすでに4ヶ月近くが経ちました。あっという間ですね。
(いやはや、ご無沙汰してしまいました)

現在、2019年度のアーティスト・イン・レジデンス(以下AIR)プログラムの公募、真っ最中です。
実はいろいろお知らせしたいことがあり、改めてブログ更新します。ちょっと長文ですがお付き合いください。まずは昨年度のオープンスタジオから振り返りつつ.....キッズツアーやガイドツアー、ERPの上映会やジハドのレクチャーパフォーマンスなど、毎日何かが起こる5日間でした。
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オープンスタジオ(OS)にご来場者くださった皆さん、ご登壇いただいたゲストの皆さん、ありがとうございました。特筆すべきは、ゲストキュレーターの金澤さん企画。
オープンディスカッション、または大喜利」の様子は、今回はイメージダイジェストのみとしますが、必ずやリポートしたい内容です。
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 左から山峰潤也さん、田中みゆきさん、澤渡麻里さん、五十嵐純さん、金澤さん。
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皆さん笑いが絶えず....なぜって前代未聞の学芸員/キュレーターによる大喜利でしたから。こんなに笑顔だと一体何が話されていたか知りたくなるはず!
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下段左より、金澤さん、長谷川新さん、田坂博子さん、三本松倫代さん、黒澤伸さん。
かしこまってお約束の撮影をするも、カメラマンの加藤甫さんも見逃さなかったこの日のプログラム全てを終えた瞬間。
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OS 5日間のうち、2日間にわたり開催された「オープンディスカッション、または大喜利」。
表現を読み解くのに例えてみること。オーディエンスからも「面白かった、わかりやすくて楽しかった」と多くの感想をいただいたプログラム。ただそれだけではなく、巧みな言葉による謎かけで深い意味合いを堪能する、実に斬新な試みでした。(個人的には)シリーズ化希望です(笑)。
整ったらぜひリポートしますのでそれまでお楽しみに。
レジデントらの未公開活動プロセスや、オープンスタジオ各プログラムの様子、年度末の地域プログラムのご報告も随時アップしていきます。
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振り返ってみると。665件から選ばれた3名のアーティストと金澤韻さんの紡いでいったアーカス2018は笑顔が絶えないAIRプログラムでした。金澤さん、ありがとうございました!

....というわけで。2019年に入り、また新たな歴史の1ページがスタートします。
すでに公式アナウンスされましたが、改めまして。
2012年度から7年続いたゲストキュレーター制から、2019年度よりシステムが変わります。
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アーカスプロジェクトのディレクターに小澤慶介(アートト代表/インディペンデント・キュレーター) が就任しました。(プレ/パイロット事業時の岡田勉さん、辛美沙さん、帆足亜紀さん、遠藤水城さん、小田井真美さんに次ぐ6代目)
「就任にあたって」ディレクターメッセージはこちらからご覧下さい。

2012年度よりディレクター不在の7年間は、歴代のゲストキュレーター(チェ・キョンファさん、堀内奈穂子さん、西川美穂子さん、飯田志保子さん、服部浩之さん、近藤健一さん、金澤韻さん、とそうそうたる顔ぶれ!)のAIRディレクションによって、コーディネーター陣もアーカススタジオに吹き込む新鮮な風を取り込むように、毎年様々なかたちでアーティストたちの活動を支援することができました。プレ事業を含む1994年からの取り組みは25年になります。これも次々と”新たな展開を”、と代々繋いでくださったバトンによるもので、これまでに迎えたアーティストは103組(104名)を数えました(Exchange Residency Programを除く)。過去招聘アーティストらは帰国後、続々と国内外で活躍しています。
歴代ディレクターやゲストキュレーター陣のみならず、アドヴァイザーはじめ、AIR事業に携わる方々やプログラムに関わってくださったサポーターの皆さんも大勢。歴史を感じます。

このたびめでたく、より新しい時代にふさわしいアーティスト・イン・レジデンス事業へと、金澤さんから小澤さんへ、バトンが引き継がれました。
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小澤ディレクターとともに我々コーディネーター陣は26年目突入を迎え、前述したように2019年度は公募内容も一新します。
これまで国外招聘アーティストのみだったAIRプログラムの招聘枠に、日本国籍を有するアーティスト、つまり日本人アーティストも応募が可能になりました。(念願叶ってついに!)
実に10年ぶりの再開となります。

過去に滞在・輩出した歴代招聘アーティストには山出淳也島袋道浩岩井成昭さとうりさ眞島竜男澤登恭子北山美那子小泉明郎稲垣智子藤井光出田郷椎名勇仁という12名の皆さんがいます。先月、レジデンス公募説明会と題して藤井光さんに経験談をお話しいただきました。その様子はこちらのブログで。(必読!)
日本人アーティスト支援をちょっとおろそかにしてしまった10年を経て、その次世代を広く募集します。

詳しくは応募要項をこちらよりご覧下さい。締め切りは4月19日(金)必着です。
(もう一度言います。郵送で19日必着です。)
国外から2組、国内から1組、という構成で今年度のAIRプログラム、始動します。
スタジオで制作活動していくなかでの、完璧な完成は求めません。調査・実験・新たな事に挑戦するアーティストに時間と空間を提供します。フィードバックもご参照ください。


そして今週末の告知です。2019年度最初のプログラムは
テーブルミーティング Vol.11 新しいディレクターと +冨井大裕「企画展=収蔵展」ツアー からスタート!
ちょうどもりや学びの里の桜も満開になりそうなこの週末、7年ぶりにディレクターが就任したことを記念して、アーカスサポーターや守谷の皆さん、また、アーカスプロジェクトに興味があるけれどまだ来たことがない方々と、新しいディレクターとの最初の最初の交流イベントを開催します。

「現代アートってそもそも何なのか」という素朴な疑問をディレクターと語りたい方のお越しもお待ちしております。「アーカススタジオってどんな感じ?」と気になっているアーティストの皆さん、気軽にお立ち寄りください。守谷の街やアーカスを以前から知る皆さんも、これからのアーカスプロジェクトについてディレクターと共に語り合うことのできる機会です。

同日、2008年より恒久展示されている(知る人ぞ知る!)遠藤水城キュレーションによる冨井大裕さんの「企画展=収蔵展」では、特別に小澤ディレクターによるツアー形式で貴重な作品群を一部公開します。
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ちなみに幾度となく聞かれる基本情報を、最後にアーカイブ担当より。

『「アーカス」とはラテン語で「門」を意味します。そしてこの言葉に、若いアーティストの才能を発掘・支援し、国際的舞台に送り出す登竜門となること、そして日本の芸術活動の中心地(ART x FOCUS)となることを願って名付けられました。』
(1995年頃。ロゴを決める時の記録より/現リーフレットより抜粋)とあります。

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新たな門をくぐって、小澤ディレクターと新しいアーカスプロジェクトでお会いしましょう!



[最後の写真3枚+チラシ画像を除き、Photo: Hajime Kato]

















# by arcus4moriya | 2019-04-05 09:02 | AIR_2019
3/9 レジデンスプログラム公募説明会 at 森下文化センター Residence Program Orientation for Japanese Artist
アーカスプロジェクトでは2019年度のレジデンスプログラムより日本人アーティストの受け入れを再開することになりました!
2007年以来約10年ぶりの試みです。

そこで、アーカスプロジェクトをあまり知らない、アーカスに来たことがないけど公募に興味があるというアーティストを対象に、東京・江東区の森下文化センターにて公募説明会を開催しました。
ゲストスピーカーとして、2005年にアーカスに滞在し、現在は日本の現代アートシーンを代表するアーティストとして国際的に活躍している藤井光さんをお招きし、アーカスでの経験を語っていただきました。
パリを拠点に活動しながら、日本に一時帰国する方法を探していた藤井さんは、アーティスト・イン・レジデンスを利用することを思いつきます。

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(以下敬称略)
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藤井光(以下藤井):日本のレジデンスを探していく中で、アーカスプロジェクトは当時、ずば抜けて条件の良いレジデンスでした。日本の多くのレジデンスの滞在期間が2ヶ月ほどであった当時、アーカスは5ヶ月のフルサポート。応募には推薦書の提出も必要で、ややハードルの高いステータスのあるような印象があり、試してみようと思いました。

それまで10年間日本を離れていたので、いわば日本社会を知るための場でした。別の見方をするとある種ひきこもっていた人間が社会に出る移行期のような期間。制作活動もあるけれど、ディレクターの帆足さん*と話すことや、他のアーティストと話す緩やかなコミュニケーションの場でした。

*当時のアーカスプロジェクトのディレクターは帆足亜紀さん(現・横浜トリエンナーレ組織委員会事務局長)でした。


藤井:招聘条件に英語で他のアーティストとコミュニケーションがとれることとありますが、それは気にしなくて大丈夫。僕は英語はできなかった。どうやって話をしていたか分からないくらい。でもジェスチャーとかでどうにかなるし、滞在している間に英語力は伸びます。

小澤慶介(以下小澤):どういう毎日を送っていましたか?

藤井:スタジオから自転車で10分くらいのところに住むところが用意されていて、アーカスから借りた自転車で通っていました。ちょうど僕のいた時につくばエクスプレスが開通して。

小澤:今でも、アーカスの周りは畑がありますね。ベッドタウン化で守谷駅前には高層マンションが建ちましたが。

藤井:アーカスのある場所は守谷駅から離れているし、あんまり変わらない感じの風景なんじゃないかな。スタジオに行って机があって、パソコンを開いて、本を読んで調べ物をしてというような生活でした。

小澤:調査でどこかに出かけたりしましたか?僕の印象では、アーカスに滞在しているアーティストは市民に出演してもらったり、何か手伝ったりしてもらうことが多い気がします。

藤井:滞在していた時は、そもそもなぜ市民と共同制作しないといけないの?自分の制作をしに来ているのに、市民にそれを還元するのは義務ではないんじゃないか?義務にしたら問題があるんじゃないか、と帆足さんに投げかけてました。今でこそ、僕の制作は社会に参加するあるいは関わりを持つような作品のスタイルで認知されているけれど、当時の僕はむしろもう少し、社会を俯瞰的に見て、離れたところから「描く」ようなスタイルでした。自分自身が社会に入って行くなんて、、と思っていた。

小澤:それは作品との距離感が取れなくなってしまうから?

藤井:それもあるし、当時20代で若くて生意気だったこともあり、税金で運営しているレジデンスを正当化するために、アーティストを政治的に利用しているだけじゃないか、と思っていたんです。それでも、帆足さんは真摯にそういった僕と議論をしてくれました。それが、僕に、アートを創ることそのものと公共性の問題とか、アートが持つ社会性ということをより具体性を持って考える一つの契機になったんです。ちなみに、アーティストが地域と関わりを持つことについて違和感を感じていたのは僕だけじゃなかった。他の海外アーティストも疑問に感じていて、アーティストどうしでも話し合っていました。「じゃあ日本人の僕が理由を聞いてくるよ」みたいな感じで、僕はみんなの中で通訳というかメディエーター(仲介)みたいな役割をしていたと思います。
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小澤:僕は当時、藤井さんの年のオープンスタジオをお客さんとして観に行っているんです。今でも覚えているけど、オープンスタジオで市民の反応がダイレクトにあったことが印象的でした。「なんなのかわかんないよ」と言ってるおじいさんがいたりして。作品をめぐるやりとりが開かれていてよい空気が流れているなと感じたんです。美術館の展覧会だと、アーティストはいないし、作品鑑賞の作法のようなものがあるように思うけれど、それとは違ってアーティストと市民(鑑賞者)が対等にやりとりしている感じがした。そういう市民からのダイレクトなツッコミが入るから、それによって作品が豊かになる可能性があるなと感じました。

藤井:それは確かに忘れられない経験です。特にヨーロッパとか、美術館等のインスティテューションに入ると展示の動線があって、その門をくぐればその中に置いてあるものは全てアートだという前提があります。中に入った人は視線は芸術作品を観るよう条件付けられています。でもアーカスにはそれがなかった。市民や観客に対して、そもそもそこにあるものがアートであるかどうかということ以前に表現として見せることになり、観た人から強いリアクションが返ってきた。

小澤:アーティストと市民の間に熱があるというか、アーカスにはいろいろな熱があって、アーティストどうしの間にも熱が生まれる生っぽい体験だったのではないかなと思います。

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藤井:その生っぽいということを別の言い方にすると、これは後に僕が日本に残ることに決める理由にもなるんですが、日本では美術を鑑賞者が受容するときに、自分が前提としていた美術史を抜きにしてダイレクトに反応してくれるんです。美術が美術として回収されないんです。それは、ある種少し恐ろしい場所だと感じたんです。
その後の自分の作品での経験に引きつけると、いわゆる極端な政治思想を持つ人が僕に直接文句を言ってくることがあります。それって作品を美術として受容しているのではなくて、表現として、一種のアクティビズムとして受け取っているということ。僕としては美学的な探求をやっているはずなんだけど、観客からは美的判断を保留してリアクションがくるんです。この状況は、当時の世界を俯瞰して観ていたような視点を引き摺り下ろしました。それはとてもインパクトのある経験で、その後の活動を見た僕の古くからの知人からは、「人類学者になったの?」と言われたりした。つまり制作する上でのポジションが変わったんです。

小澤:藤井さんの作品を見ていると、その時々で距離感や質感が変わるように思います。もしかしたらアーカスでの経験はそうした可能性を広げたのではないでしょうか。

藤井:アーカスは確実に広げましたね。いろいろ予期せぬことが起こったし(笑)。オープンスタジオのために制作費を使いすぎて生活費に食い込んでしまったので、スタジオの入り口に箱を置いて寄付を集めたんです。そうしたら、「税金でやってるのに、寄付も募るなんて!」と住民から怒られたりもしていろいろ学びました。

小澤:僕も駆け出しの頃は頭の中だけで考えていて、それをなかなかうまく身体化できませんでした。抽象的なことをそのまま話していたので、周りの人たちが引いてしまうこともあったり。社会経験を経てそれではまずいと思い変わっていきました。難しい言葉をあまり使わないようにしたりすることで、活動の幅が広がったし得られるフィードバックも大きくなったと感じます。
振り返ってみて、アーカスでの経験は他になにか巡り合わせというか、アーカスきっかけで知り合ったアート関係の人とかはいますか?

藤井:帆足さんと知り合ったのは大切な出会いでした。アーカスを離れたあとも、実は陰ながら僕や小泉明郎さんのことをずっとサポートしてくれていたんです。日本は、経済的な点からアート活動をするのはすごく大変な場所です。そこでアーティストがアーティストを支える組織である、アーティスツギルドを作って自分たちで助け合いながら製作コストを下げる工夫をしたりしたんですが、その立ち上げの時も支援していただきました。また、当時の公募の審査員たちは今は館長クラスの職についているけれど、そういうことより当時お客さんだった小澤さんのような人たちとの出会いも大事でした。
僕は、キャリアを考えて有名キュレーターに会うというのはあまり重要だと思っていません。それよりも同時代的なネットワーク、自分と同時代性を分かち合える人たちとどうネットワークを組んでいくかが大事だと思います。自分の表現云々というより、単純に話して楽しいとか、いつも同じメンバーではなくて別の人を入れて議論しようとか。アーカスはそういうネットワークを作る機会になりました。小泉明郎さんに会ったのもアーカスを通してです。

小澤:藤井さんや小泉明郎さん、僕などの世代で、現在アートの仕事に就いている人の間では、お互い助け合ってやってきたという感覚がどこかありますね。経験を一緒に積んできたというか。レジデンスをそういうネットワーク作りの場と捉えることもできるのかなと思います。

藤井:帆足さんには当時「ヨーロッパに帰った方がいいよ」と言われていたんです(笑)。このアーカスでの作品を作った時も、「地域住民との交流を」と言われるから地元の中学校に協力してもらおうと思ったら、そんな政治的な作品には協力できないと断られることがあったりして。結局いろいろな伝手で協力者を集めたんですがとにかく大変だった。帆足さんは僕が日本に残っていたら大変になるだろうと、ヨーロッパに帰った方がいいと言ってくれたんですが、僕はそれを聞かずに逆に日本に残る決断をしました。小澤さんの前でなんですが、ディレクターの言うことを全て聞き入れてはいけないということは伝えておきたいです(笑)。最終的な判断は自分で下さなければいけない。

小澤:アーティストどうし、アーティストと市民だけではなく、アーティストとスタッフの間にも、そういうやりとりができるニュートラルな関係が築けていたんですね。そうした開かれた場だからこそ、ふだんは眠っている脳みそや感覚が刺激されて作品や活動の幅が変わってゆくのかもしれません。日本人の公募枠からは、長い時間をかけて、社会性のある自立したアーティストが生まれるといいなと思います。
藤井さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。

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日本人アーティストを対象とした募集要項についてはこちらからご確認ください。(2019年4月19日郵送必着)

選出された日本人アーティストは、海外アーティストと2名/組と同時期にアーカスに滞在し、制作やリサーチに取り組むほか、茨城県北地域にも滞在して制作を継続し発表します。
日本国内にいながら、海外のアーティストの考え方を知り、国際的なネットワークを作っていく機会にもなります。

皆様からの熱いご応募をお待ちしております。





















# by arcus4moriya | 2019-03-09 18:00 | AIR_2018
Feedback from 2018 Resident Artists!
Cihad Caner

During my time in Japan, I had a chance to develop the idea of my current project "Demonst(e)rating the untamable monster". It was an important period for me to focus on the pre-production part of my work. I think the amount of time was not enough to finish this work, however it was enough to develop it and do some new experiments with different mediums. For instance I had a chance to test new mediums in my practice, lecture performance and drawings during the five days open studios event.

I think Moriya's location is a perfect place to focus only on the project. You are not in the middle of Tokyo, which gives you a great opportunity not to disturb yourself from the magical atmosphere of it. It is also quite nice how you interact with local residents of Moriya. They remind of me of Turkish people who help you more than you ask. I was feeling at home, when I was surrounded by local Moriya residents, who helped me during my research, building up period.

I also want to mention the guest curator Kodama Kanazawa. Her feedbacks were really helpful for me to develop my project during my time at Arcus Project. She was literally thinking with me, instead of just giving references. Additionally, I also found important the talks that Kodamasan organized during the open studios. It was interesting to hear, different curators' reflections on your work.

Arcus project is a special artist in residency program for me. The longest residency I did, which opened new paths in my artistic practice. It thought me a lot! After finishing the program, you understand why Arcus Project is the longest and oldest artist residency in Japan.

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Erika Ceruzzi

It’s bittersweet to summarize the ARCUS experience as succinct feedback. The residency is an immersive environment aimed to steer one’s practice towards exploring Japanese culture from the outskirts of Tokyo’s metropolis. It was an incredible, tranquil place to be based. ARCUS enabled me to reshape my methodology to incorporate cross pollination with sites and institutions that would have otherwise been inaccessible.

To conduct and showcase a research project within the timeframe of this residency is a tough proposition. It was important to plan outreach and fieldwork from the beginning. The ARCUS staff are beyond supportive. They became crucial to informing my conceptual framework and execution plan. Through our collaboration, I met with specialists behind the scenes of biotech research institutions, silkworm farms and silk reeling factories.

ARCUS encouraged a deeply focused inquiry for me. The program is thoroughly planned out from beginning to end. It is structured so that artists remain on track with their projects. Although there was ample solitude, there was not much privacy. Artists must meet the requirements of the residency, report their activities in various ways, and be cooperative with the constant photo documentation of their process. While an awareness of cultural difference colored my experience of the day to day, it drew me closer to my practice, and challenged me to make work that could communicate with a multilingual sensibility. The culmination of the residency at open studios allows each artist an incredible platform to share their work with the community, renowned curators, and the extended contemporary art scene in Japan. I made acquaintances during my stay who will remain a part of me forever. I am so grateful that my first encounter with Japan was guided by the ARCUS program.

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Erica van Loon

From the moment I arrived in Japan I entered a bubble where everything is slightly different; on a daily basis I would learn something new. And even time was different; it seemed to stretch while my working process simultaneously seemed to accelerate. The incredible amount of support by the coordinators of ARCUS Project was vital in this experience, both on a personal and on a professional level. Their contribution to my working process was extensive and beyond any expectations I had. They anticipated every part of the process, but made sure to keep enough flexibility for my research to move in unexpected directions, they were with me every step of the way. Their mediation provided access to sources in ways that I wouldn’t have had on my own; I got to work with and be part of the local aikido community; I talked with scientists from the Center for Geophysical Observation and Instrumentation of the University to Tokyo; hiked up the sacred Mount Oiwa with a team of specialists from the North Ibaraki Geopark; and made sound recordings of traditional singing bowls.

I think ARCUS Project does a wonderful job at engaging local people and (art) specialists from near and far. I was honored that the program provided multiple opportunities to share my work in progress and my practice in general, during talks at universities, event spaces and the Open Studios. The Open Studios are a key element of the residency. It was very rewarding to work towards a presentation and share my project with so many people. One of the many highlights was the Riddling Dialogues, where multiple curators reflected on each of our projects and provided many new perspectives. These open discussions were a concept by curator Kodama Kanazawa, who along with the ARCUS team, gave valuable feedback and cheered my research throughout my residency.
A 110 days was a good amount of time to get to feel at home and to be able to grow a fruitful context for working, to really become part of a community, the ARCUS project community, but also the community in Moriya and the art world in and around Tokyo. It was a perfect combination to have both the closeness of such a big cultural hub and to be able to withdraw and focus in a more intimate environment. It still feels heart warming that I was surrounded by so much generosity and care, from the ARCUS team, the volunteers and all the other people that contributed to my work. I feel like I’ve left behind a parallel universe, but what remains are many memories of enriching experiences, new friends and a project that keeps on expanding.

Thank you, Yumiko San, Aruma San, Mizuho San, Kodama San and all the other wonderful people that made my project possible. I could not have done this without you!


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# by arcus4moriya | 2019-03-01 11:50 | AIR_2018
Information of Great East Japan Earthquake (March 1st, 2019)
These are information about Great East Japan Earthquake on the internet as reference data. Please refer to them.
毎年更新している東日本大震災(2011.3.11)以降の参照データです。


▶Japan Atomic industrial Forum_English
Daily updates on nuclear power station in Fukushima

Nuclear Power Plants in Japan (2019)

Licensing status of the Japanese nuclear facilities
Information of Great East Japan Earthquake (March 1st, 2019)_a0216706_16183806.jpg

'Information on the Great East Japan Earthquake' by Ministry of
Economy, Trade and Industry


Reading of environmental radioactivity levelby Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology(MEXT)

Nuclear Regulation Authority_English

IAEA: International Atomic Energy Agency_English


The distance from FUKUSHIMA Nuclear Power Plants to IBARAKI, ARCUS
Studio in Moriya city

Information of Great East Japan Earthquake (March 1st, 2019)_a0216706_202129.jpg




# by arcus4moriya | 2019-02-28 15:02 | AIR_2018


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