<   2018年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧
10/26 イリカ 東京大学地震研究所訪問 Erica - Visit to Tokyo University Earthquake Research Institute
オランダから来たイリカは、自然災害の多い日本では地球の活動がオランダより活発に感じられると考えています。
特に、来日して初めて地震を感じた時は、恐れと同時に興奮も感じたと言っていました。

そこで地球の活動としての地震について研究者の方にお話を伺えればとリサーチしていたところ、近年観測技術の発達によって新たに発見されたスロー地震に関心を抱くようになりました。

通常人間が感じる程度の地震というのは、プレート間に蓄積されたひずみが急激にずれる時に引き起こされます。
対して、スロー地震では、ひずみが限界に達した時に起こるのは同じですが、プレート断層面の特性によりゆっくりと滑ることが特徴です。
数日から数年かけて起こることもあり、揺れを引き起こさないので、人間の体は感じることができませんが、実は大きな地震よりも頻繁に起こっています。

そのスロー地震について詳しいお話を研究者の方にお伺いすべく、東京大学地震研究所の竹尾明子様に取材を申し込みました。
実はアーカスプロジェクトの取材で地震研究所を訪れるのは、昨年のカーティス・タムのリサーチに連続して2度目です。

a0216706_18195731.jpg
a0216706_18200432.jpg
a0216706_18201264.jpg
イリカは、何かを説明する時に人が使う手のジェスチャーなども作品に取り入れたいと考えているので手の動きを撮影します。

a0216706_18202129.jpg
a0216706_18213938.jpg
a0216706_18214834.jpg
a0216706_18220071.jpg
a0216706_18221267.jpg



オフィスでのインタビューを終え続いて研究所内の見学へ。
a0216706_18223449.jpg
a0216706_18224258.jpg
自己浮上式海底地震計

a0216706_18224980.jpg
海底でデータを収集し、観測が終了すると船からの音波を受けて自動で浮上します。

a0216706_18225645.jpg
a0216706_18231066.jpg
a0216706_18232012.jpg
地震研究所の建物の耐震構造について

a0216706_18233638.jpg
a0216706_18245648.jpg
歴代の様々な地震計が展示されている展示室へ

a0216706_18235906.jpg
現在はデジタルな観測計が使用されていますが、以前はこういったアナログな機械が使用されていました。

a0216706_18241127.jpg
煤の上を針が削ることで震動が記録されていきます。
a0216706_18234657.jpg

a0216706_18242269.jpg
a0216706_18243158.jpg
a0216706_18244097.jpg
現在でもオープンキャンパスなどの際に昔の機械を作動させるそうで、近年の実際の地震が記録されていました。


イリカにとって今回のインタビューはとても刺激的なものになったようです。
特に地震の波が地球を1周するというスケール感などが印象に残ったようでした。

オープンスタジオで発表する映像にどのように今日の取材を生かすかをイリカは考えています。


by arcus4moriya | 2018-10-26 21:18 | AIR_2018 | Comments(0)
10/23 AIR Bridge - ARCUS Project × 東京藝術大学 Global Art Crossing × TAKASU HOUSE -
今年から始まった新事業、AIR Bridgeのイベントを東京藝術大学取手校舎の藝大食堂で開催しました。

AIR Bridgeとは、設立から25年目を迎えるアーカスプロジェクトの経験と歴史を元に、様々なアーティスト・イン・レジデンス運営団体、またはこれから運営を始めようとしている団体と協働することで、ノウハウを共有し、これからの互いの事業運営の発展に生かすことを目的とする事業です。


AIR Bridge第1回目は、東京藝術大学 Global Art Crossing [中東]との共催に、取手でアーティスト・イン・レジデンスを展開するTAKASU HOUSEを交え3組が登壇するトークイベントとなりました。

イベントタイトルは「アーティストが移動すること - アーティスト・イン・レジデンスという仕組み - 」。

アーカスプロジェクトのレジデンスプログラムではリサーチベースの現代アート分野で活動するアーティストを海外から招聘しています。
Global Art Crossingは東京藝術大学がトルコのミマールシナン大学、アナドール大学、イスラエルのベツァルエル美術デザインアカデミーと交流するプロジェクトで、今年度はアメリカ人ガラスアーティストが来日し、トルコからの学生と藝大の学生向けにガラスのワークショップを行っていました。
TAKASU HOUSEは取手アートプロジェクトの《半農半芸》の活動拠点であり、レジデンスプログラムでは若手の日本人アーティストを招聘しています。

3つの異なる団体に共通しているのはともに「拠点を離れたアーティストが新しい場所で制作し、人々と交流している」ということ。

今回のイベントでは3者の事業を運営担当者がそれぞれ紹介すると共に、招聘アーティスト3名が自身の活動について語りました。
a0216706_17290991.jpg
まずはTAKASU HOUSEの岩間賢さんとアーティストの秋良美有さん


a0216706_17290060.jpg

a0216706_17302298.jpg
a0216706_17304067.jpg
a0216706_17305020.jpg








a0216706_17310990.jpg
次にGlobal Art Crossingの藤原信幸先生とアーティストのスティーブン・チェスキーさん

a0216706_17313101.jpg
a0216706_17314097.jpg
a0216706_17315115.jpg
a0216706_17320302.jpg





a0216706_17322497.jpg
最後にアーカスプロジェクトから外山有茉とエリカ・セルジ

a0216706_17321412.jpg
a0216706_17323489.jpg
a0216706_17324222.jpg
a0216706_17325593.jpg


それぞれのトークのあとにはQ&Aの時間もあり、会場からはどうすればアーティスト・イン・レジデンスプログラムに応募できるのか、などの質問がありました。
a0216706_17330764.jpg
a0216706_17334546.jpg


最後は、藝大食堂様にお食事をご用意いただきまして、美味しいご飯とお酒で交流会の時間もありました。
a0216706_17335777.jpg
a0216706_17332109.jpg
a0216706_17340857.jpg

a0216706_17394858.jpg

今回初めてこの3団体が集ってイベントを開催したことで、同じ茨城県南に位置しながらもこれまで交流のなかった互いの事業のこと、またその性質の違いを知ることができ、主催者にとっても意義のある会となりました。
東京藝術大学で開催したことで、アーティストを志す若い学生さんたちにも、アーティスト・イン・レジデンスという存在を卒業後の進路の可能性の一つとして知ってもらえたのではないかと思います。

手探りで始まった他団体との連携でしたが、今後の交流に繋がっていくであろう手応えを感じることができました。
アーティスト・イン・レジデンスという事業は全国で広まってきていますが、その規模や質はさまざまです。他のレジデンスを知り、横の連携を作ることで互いに切磋琢磨していければと思います。














by arcus4moriya | 2018-10-23 15:42 | AIR_2018 | Comments(0)
10/3 エリカ 農研機構見学 Erika - visit to NARO -
遺伝子組換え蚕についてリサーチしているエリカは、つくばで遺伝子組換え蚕を飼育している農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)に見学へ訪れました。

a0216706_12432128.jpg
農研機構



まずは研究所内の展示室で資料を見せていただきながら研究者の方にお話しを伺います。
お会いしたのは、生物機能利用研究部門、新素材開発ユニットの亀田恒徳さんです。

a0216706_12431077.jpg
a0216706_12433061.jpg
a0216706_12434007.jpg


特に、エリカが関心を抱いているのはクモの糸の特性を持ったシルクを作ることのできる蚕です。
クモは自然界でもっとも強い糸を作ると言われていますが、共食いしたりするので大量に飼育することが難しく、そのままでは製品化には向いていません。
そこで遺伝子組換え技術によって蚕にクモの糸の強さを持つシルクを作らせることで、大量生産が可能になります。

蚕は成長周期が短く、かつ飼育にかかるスペースが小さいので、人間が必要としている成分などを大量に培養するのに向いているそうです。
また、蚕を遺伝子組換え技術の開発に使用する利点には他にも、蚕は人間により完全に家畜化された生物なので自然界では生きることができず、他種と交配して環境に影響を与えるリスクが少ないなどの理由があります。
a0216706_12435368.jpg
a0216706_12440605.jpg
a0216706_12441760.jpg
生体安全性が高く、皮膚の再生治療や手術での使用など医療用のシルクの開発も進んでいます。

a0216706_12444865.jpg
ブラックライトに当たると蛍光に光るタンパク質を含んだ遺伝子組換えシルク


a0216706_12450399.jpg
a0216706_12451176.jpg
2人の話は、未来の宇宙での蚕の利用の可能性などにも拡がっていきました。


a0216706_12484421.jpg

農研機構にも繭から生糸を生成し、絹糸、織物にするまでの機械が揃っています。
a0216706_12463360.jpg
a0216706_12464763.jpg
a0216706_12472307.jpg
a0216706_12475236.jpg
a0216706_12480731.jpg


a0216706_12485839.jpg
a0216706_12491053.jpg
研究所のシルクで作った試作品です。



実際に今繭を作り始めている遺伝子組換え蚕を見学することができました。
a0216706_12492777.jpg
a0216706_12495463.jpg

約20000匹の蚕たちが糸を吐き出している「さわさわ」という音が部屋中に響いていました。
今までニュースなどで読むだけだった遺伝子組換えという先進的な、ほとんど抽象概念でさえあった事象が、ここでは音という実態を持って迫ってきました。
そこには理論ではなく、科学者、飼育に携わるスタッフと小さな生き物とのケアの関係が物理的な空間に展開しています。
養蚕業は遥か紀元前2000-3000年頃に中国大陸で始まったと言われ、それ以来品種改良を重ねた蚕はより長い糸を生産するようになり、その過程で人間に完全に依存する家畜生物になりました。
餌となる桑を自分で見つけることもできず、成虫し蛾となった後は羽はあっても飛ぶ能力もありません。
シルクという素材がいかに人間の歴史と生活の中で重要な役割を果たしているかを考えると人間もまた蚕に依存していると言えるでしょう。

エリカが今日のために用意していた質問には以下のようなものもありました。

"A scholar and theorist of science and technology, Donna Haraway, talks about sympoiesis and the entanglement of humans and nonhuman organisms, evident on the microbiological level. She calls for a an urgent reexamination of what it means to be human.
With GMO silk being incorporated into the human body / dermatologically fused onto the human body, humans and silkworms are intersecting on a genetic level. What are your thoughts about this?"
「ダナ・ハラウェイが人間と人間以外の生物の微生物学的なレベルに見られるもつれ合いとシンポイエーシスについて語っています。ハラウェイは人間である/人間として存在するとは何を意味するのかを再検討することの必要性を呼びかけています。遺伝子組換え蚕のシルクが人間の体に取り入れられ/皮膚科学的に融合されることは、人間と蚕が遺伝学的な面で交差することを表しています。この状況に関してどう思いますか?」
(遺伝子組換え技術では他の生物の遺伝子を蚕に組み合わせているのではなく、ある必要なタンパク質を組み合わせています。)

人間が地球全体の環境に多大な影響力を持つ時代にあって、「自然をコントロールする理性的な人間」という主体を解体し、人間と他の生物/非生物との相互依存/互恵関係を見つめることで、いかに彼らとよく生き/死ぬかということを想像することが求められています。

人間の体がシルクという素材(蚕)をどのように受け入れるのか(accept)というエリカの関心に対して、亀田さんは、研究では「受け入れる(accept)」という言葉ではなく、人間の体が「無視することができる(negligible)」という言葉で表現していると言われていたのが印象的でした。

「無視することができて」かつ共に存在するとはどのようなあり方なのでしょうか。

数千年に渡る人間と蚕との相互依存関係は遺伝子組換えや再生医療というテクノロジーを介して更なる段階へと進み始めています。
a0216706_12502659.jpg
a0216706_12504075.jpg
a0216706_17011976.jpg
a0216706_17013312.jpg

a0216706_12510048.jpg
a0216706_12511717.jpg
a0216706_12512813.jpg


この日見学は4時間にも渡り、亀田さん始め農研機構の方々のおかげでエリカは大変充実した時間を過ごすことができました。
ついに叶った遺伝子組換え蚕との邂逅は、大きなインスピレーション源になったようで、帰りの車の中では、これからのプロジェクトの進め方を興奮気味に話していました。

これからどのようにリサーチが展開していくのでしょうか。

エリカのリサーチを構成する重要な思想家にダナ・ハラウェイがいます。
彼女は80年代に発表した「サイボーグ宣言」で知られていましたが、近年は人間と動物や、バクテリアなどの有機物、無機物との関係性を再考する思想を精力的に発表しています。
特に2016年に出版された最新の著作『Staying with the Trouble: Making Kin in the Chthulucene』がエリカの活動を考える上で重要ですが、まだ日本語訳が出版されていません。
それ以前の著作『犬と人が出会うとき 異種協働のポリティクス』でもハラウェイの人間と動物とのオルタナティブな関係性についての思想に触れることができます。
もしくは『現代思想 2017年12月号人新世 ―地質年代が示す人類と地球の未来―』では最近の論文の邦訳が掲載されているので、エリカのリサーチに興味を持たれた方はぜひチェックしてみてください。


by arcus4moriya | 2018-10-03 16:29 | AIR_2018 | Comments(0)


S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
全体
AIR
AIR_2018
AIR_2017
AIR_2016
AIR_2015
AIR_2014
AIR_2013
AIR_2012
AIR_2011
地域プログラム_地域とアート
2009-2010
HIBINO HOSPITAL
アートエデュケーション
アーティスト・イン・スクール
アーカス||シェア||スタジオ
オープンラジオ
地P_だいちの星座 2014_15
地P_大木裕之 2014-16
テーブルミーティング
ショウケース
MEC_モリヤイーストキャスト
ロッカールーム
アーカスの日常
スタジオ来訪者数
未分類
外部リンク
検索
ARCUS Twitter
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧