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カテゴリ:AIR_2018( 17 )
3/9 レジデンスプログラム公募説明会 at 森下文化センター Residence Program Orientation for Japanese Artist
アーカスプロジェクトでは2019年度のレジデンスプログラムより日本人アーティストの受け入れを再開することになりました!
2007年以来約10年ぶりの試みです。

そこで、アーカスプロジェクトをあまり知らない、アーカスに来たことがないけど公募に興味があるというアーティストを対象に、東京・江東区の森下文化センターにて公募説明会を開催しました。
ゲストスピーカーとして、2005年にアーカスに滞在し、現在は日本の現代アートシーンを代表するアーティストとして国際的に活躍している藤井光さんをお招きし、アーカスでの経験を語っていただきました。
パリを拠点に活動しながら、日本に一時帰国する方法を探していた藤井さんは、アーティスト・イン・レジデンスを利用することを思いつきます。

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(以下敬称略)
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藤井光(以下藤井):日本のレジデンスを探していく中で、アーカスプロジェクトは当時、ずば抜けて条件の良いレジデンスでした。日本の多くのレジデンスの滞在期間が2ヶ月ほどであった当時、アーカスは5ヶ月のフルサポート。応募には推薦書の提出も必要で、ややハードルの高いステータスのあるような印象があり、試してみようと思いました。

それまで10年間日本を離れていたので、いわば日本社会を知るための場でした。別の見方をするとある種ひきこもっていた人間が社会に出る移行期のような期間。制作活動もあるけれど、ディレクターの帆足さん*と話すことや、他のアーティストと話す緩やかなコミュニケーションの場でした。

*当時のアーカスプロジェクトのディレクターは帆足亜紀さん(現・横浜トリエンナーレ組織委員会事務局長)でした。


藤井:招聘条件に英語で他のアーティストとコミュニケーションがとれることとありますが、それは気にしなくて大丈夫。僕は英語はできなかった。どうやって話をしていたか分からないくらい。でもジェスチャーとかでどうにかなるし、滞在している間に英語力は伸びます。

小澤慶介(以下小澤):どういう毎日を送っていましたか?

藤井:スタジオから自転車で10分くらいのところに住むところが用意されていて、アーカスから借りた自転車で通っていました。ちょうど僕のいた時につくばエクスプレスが開通して。

小澤:今でも、アーカスの周りは畑がありますね。ベッドタウン化で守谷駅前には高層マンションが建ちましたが。

藤井:アーカスのある場所は守谷駅から離れているし、あんまり変わらない感じの風景なんじゃないかな。スタジオに行って机があって、パソコンを開いて、本を読んで調べ物をしてというような生活でした。

小澤:調査でどこかに出かけたりしましたか?僕の印象では、アーカスに滞在しているアーティストは市民に出演してもらったり、何か手伝ったりしてもらうことが多い気がします。

藤井:滞在していた時は、そもそもなぜ市民と共同制作しないといけないの?自分の制作をしに来ているのに、市民にそれを還元するのは義務ではないんじゃないか?義務にしたら問題があるんじゃないか、と帆足さんに投げかけてました。今でこそ、僕の制作は社会に参加するあるいは関わりを持つような作品のスタイルで認知されているけれど、当時の僕はむしろもう少し、社会を俯瞰的に見て、離れたところから「描く」ようなスタイルでした。自分自身が社会に入って行くなんて、、と思っていた。

小澤:それは作品との距離感が取れなくなってしまうから?

藤井:それもあるし、当時20代で若くて生意気だったこともあり、税金で運営しているレジデンスを正当化するために、アーティストを政治的に利用しているだけじゃないか、と思っていたんです。それでも、帆足さんは真摯にそういった僕と議論をしてくれました。それが、僕に、アートを創ることそのものと公共性の問題とか、アートが持つ社会性ということをより具体性を持って考える一つの契機になったんです。ちなみに、アーティストが地域と関わりを持つことについて違和感を感じていたのは僕だけじゃなかった。他の海外アーティストも疑問に感じていて、アーティストどうしでも話し合っていました。「じゃあ日本人の僕が理由を聞いてくるよ」みたいな感じで、僕はみんなの中で通訳というかメディエーター(仲介)みたいな役割をしていたと思います。
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小澤:僕は当時、藤井さんの年のオープンスタジオをお客さんとして観に行っているんです。今でも覚えているけど、オープンスタジオで市民の反応がダイレクトにあったことが印象的でした。「なんなのかわかんないよ」と言ってるおじいさんがいたりして。作品をめぐるやりとりが開かれていてよい空気が流れているなと感じたんです。美術館の展覧会だと、アーティストはいないし、作品鑑賞の作法のようなものがあるように思うけれど、それとは違ってアーティストと市民(鑑賞者)が対等にやりとりしている感じがした。そういう市民からのダイレクトなツッコミが入るから、それによって作品が豊かになる可能性があるなと感じました。

藤井:それは確かに忘れられない経験です。特にヨーロッパとか、美術館等のインスティテューションに入ると展示の動線があって、その門をくぐればその中に置いてあるものは全てアートだという前提があります。中に入った人は視線は芸術作品を観るよう条件付けられています。でもアーカスにはそれがなかった。市民や観客に対して、そもそもそこにあるものがアートであるかどうかということ以前に表現として見せることになり、観た人から強いリアクションが返ってきた。

小澤:アーティストと市民の間に熱があるというか、アーカスにはいろいろな熱があって、アーティストどうしの間にも熱が生まれる生っぽい体験だったのではないかなと思います。

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藤井:その生っぽいということを別の言い方にすると、これは後に僕が日本に残ることに決める理由にもなるんですが、日本では美術を鑑賞者が受容するときに、自分が前提としていた美術史を抜きにしてダイレクトに反応してくれるんです。美術が美術として回収されないんです。それは、ある種少し恐ろしい場所だと感じたんです。
その後の自分の作品での経験に引きつけると、いわゆる極端な政治思想を持つ人が僕に直接文句を言ってくることがあります。それって作品を美術として受容しているのではなくて、表現として、一種のアクティビズムとして受け取っているということ。僕としては美学的な探求をやっているはずなんだけど、観客からは美的判断を保留してリアクションがくるんです。この状況は、当時の世界を俯瞰して観ていたような視点を引き摺り下ろしました。それはとてもインパクトのある経験で、その後の活動を見た僕の古くからの知人からは、「人類学者になったの?」と言われたりした。つまり制作する上でのポジションが変わったんです。

小澤:藤井さんの作品を見ていると、その時々で距離感や質感が変わるように思います。もしかしたらアーカスでの経験はそうした可能性を広げたのではないでしょうか。

藤井:アーカスは確実に広げましたね。いろいろ予期せぬことが起こったし(笑)。オープンスタジオのために制作費を使いすぎて生活費に食い込んでしまったので、スタジオの入り口に箱を置いて寄付を集めたんです。そうしたら、「税金でやってるのに、寄付も募るなんて!」と住民から怒られたりもしていろいろ学びました。

小澤:僕も駆け出しの頃は頭の中だけで考えていて、それをなかなかうまく身体化できませんでした。抽象的なことをそのまま話していたので、周りの人たちが引いてしまうこともあったり。社会経験を経てそれではまずいと思い変わっていきました。難しい言葉をあまり使わないようにしたりすることで、活動の幅が広がったし得られるフィードバックも大きくなったと感じます。
振り返ってみて、アーカスでの経験は他になにか巡り合わせというか、アーカスきっかけで知り合ったアート関係の人とかはいますか?

藤井:帆足さんと知り合ったのは大切な出会いでした。アーカスを離れたあとも、実は陰ながら僕や小泉明郎さんのことをずっとサポートしてくれていたんです。日本は、経済的な点からアート活動をするのはすごく大変な場所です。そこでアーティストがアーティストを支える組織である、アーティスツギルドを作って自分たちで助け合いながら製作コストを下げる工夫をしたりしたんですが、その立ち上げの時も支援していただきました。また、当時の公募の審査員たちは今は館長クラスの職についているけれど、そういうことより当時お客さんだった小澤さんのような人たちとの出会いも大事でした。
僕は、キャリアを考えて有名キュレーターに会うというのはあまり重要だと思っていません。それよりも同時代的なネットワーク、自分と同時代性を分かち合える人たちとどうネットワークを組んでいくかが大事だと思います。自分の表現云々というより、単純に話して楽しいとか、いつも同じメンバーではなくて別の人を入れて議論しようとか。アーカスはそういうネットワークを作る機会になりました。小泉明郎さんに会ったのもアーカスを通してです。

小澤:藤井さんや小泉明郎さん、僕などの世代で、現在アートの仕事に就いている人の間では、お互い助け合ってやってきたという感覚がどこかありますね。経験を一緒に積んできたというか。レジデンスをそういうネットワーク作りの場と捉えることもできるのかなと思います。

藤井:帆足さんには当時「ヨーロッパに帰った方がいいよ」と言われていたんです(笑)。このアーカスでの作品を作った時も、「地域住民との交流を」と言われるから地元の中学校に協力してもらおうと思ったら、そんな政治的な作品には協力できないと断られることがあったりして。結局いろいろな伝手で協力者を集めたんですがとにかく大変だった。帆足さんは僕が日本に残っていたら大変になるだろうと、ヨーロッパに帰った方がいいと言ってくれたんですが、僕はそれを聞かずに逆に日本に残る決断をしました。小澤さんの前でなんですが、ディレクターの言うことを全て聞き入れてはいけないということは伝えておきたいです(笑)。最終的な判断は自分で下さなければいけない。

小澤:アーティストどうし、アーティストと市民だけではなく、アーティストとスタッフの間にも、そういうやりとりができるニュートラルな関係が築けていたんですね。そうした開かれた場だからこそ、ふだんは眠っている脳みそや感覚が刺激されて作品や活動の幅が変わってゆくのかもしれません。日本人の公募枠からは、長い時間をかけて、社会性のある自立したアーティストが生まれるといいなと思います。
藤井さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。

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日本人アーティストを対象とした募集要項についてはこちらからご確認ください。(2019年4月19日郵送必着)

選出された日本人アーティストは、海外アーティストと2名/組と同時期にアーカスに滞在し、制作やリサーチに取り組むほか、茨城県北地域にも滞在して制作を継続し発表します。
日本国内にいながら、海外のアーティストの考え方を知り、国際的なネットワークを作っていく機会にもなります。

皆様からの熱いご応募をお待ちしております。





















by arcus4moriya | 2019-03-09 18:00 | AIR_2018 | Comments(0)
Feedback from 2018 Resident Artists!
Cihad Caner

During my time in Japan, I had a chance to develop the idea of my current project "Demonst(e)rating the untamable monster". It was an important period for me to focus on the pre-production part of my work. I think the amount of time was not enough to finish this work, however it was enough to develop it and do some new experiments with different mediums. For instance I had a chance to test new mediums in my practice, lecture performance and drawings during the five days open studios event.

I think Moriya's location is a perfect place to focus only on the project. You are not in the middle of Tokyo, which gives you a great opportunity not to disturb yourself from the magical atmosphere of it. It is also quite nice how you interact with local residents of Moriya. They remind of me of Turkish people who help you more than you ask. I was feeling at home, when I was surrounded by local Moriya residents, who helped me during my research, building up period.

I also want to mention the guest curator Kodama Kanazawa. Her feedbacks were really helpful for me to develop my project during my time at Arcus Project. She was literally thinking with me, instead of just giving references. Additionally, I also found important the talks that Kodamasan organized during the open studios. It was interesting to hear, different curators' reflections on your work.

Arcus project is a special artist in residency program for me. The longest residency I did, which opened new paths in my artistic practice. It thought me a lot! After finishing the program, you understand why Arcus Project is the longest and oldest artist residency in Japan.

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Erika Ceruzzi

It’s bittersweet to summarize the ARCUS experience as succinct feedback. The residency is an immersive environment aimed to steer one’s practice towards exploring Japanese culture from the outskirts of Tokyo’s metropolis. It was an incredible, tranquil place to be based. ARCUS enabled me to reshape my methodology to incorporate cross pollination with sites and institutions that would have otherwise been inaccessible.

To conduct and showcase a research project within the timeframe of this residency is a tough proposition. It was important to plan outreach and fieldwork from the beginning. The ARCUS staff are beyond supportive. They became crucial to informing my conceptual framework and execution plan. Through our collaboration, I met with specialists behind the scenes of biotech research institutions, silkworm farms and silk reeling factories.

ARCUS encouraged a deeply focused inquiry for me. The program is thoroughly planned out from beginning to end. It is structured so that artists remain on track with their projects. Although there was ample solitude, there was not much privacy. Artists must meet the requirements of the residency, report their activities in various ways, and be cooperative with the constant photo documentation of their process. While an awareness of cultural difference colored my experience of the day to day, it drew me closer to my practice, and challenged me to make work that could communicate with a multilingual sensibility. The culmination of the residency at open studios allows each artist an incredible platform to share their work with the community, renowned curators, and the extended contemporary art scene in Japan. I made acquaintances during my stay who will remain a part of me forever. I am so grateful that my first encounter with Japan was guided by the ARCUS program.

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Erica van Loon

From the moment I arrived in Japan I entered a bubble where everything is slightly different; on a daily basis I would learn something new. And even time was different; it seemed to stretch while my working process simultaneously seemed to accelerate. The incredible amount of support by the coordinators of ARCUS Project was vital in this experience, both on a personal and on a professional level. Their contribution to my working process was extensive and beyond any expectations I had. They anticipated every part of the process, but made sure to keep enough flexibility for my research to move in unexpected directions, they were with me every step of the way. Their mediation provided access to sources in ways that I wouldn’t have had on my own; I got to work with and be part of the local aikido community; I talked with scientists from the Center for Geophysical Observation and Instrumentation of the University to Tokyo; hiked up the sacred Mount Oiwa with a team of specialists from the North Ibaraki Geopark; and made sound recordings of traditional singing bowls.

I think ARCUS Project does a wonderful job at engaging local people and (art) specialists from near and far. I was honored that the program provided multiple opportunities to share my work in progress and my practice in general, during talks at universities, event spaces and the Open Studios. The Open Studios are a key element of the residency. It was very rewarding to work towards a presentation and share my project with so many people. One of the many highlights was the Riddling Dialogues, where multiple curators reflected on each of our projects and provided many new perspectives. These open discussions were a concept by curator Kodama Kanazawa, who along with the ARCUS team, gave valuable feedback and cheered my research throughout my residency.
A 110 days was a good amount of time to get to feel at home and to be able to grow a fruitful context for working, to really become part of a community, the ARCUS project community, but also the community in Moriya and the art world in and around Tokyo. It was a perfect combination to have both the closeness of such a big cultural hub and to be able to withdraw and focus in a more intimate environment. It still feels heart warming that I was surrounded by so much generosity and care, from the ARCUS team, the volunteers and all the other people that contributed to my work. I feel like I’ve left behind a parallel universe, but what remains are many memories of enriching experiences, new friends and a project that keeps on expanding.

Thank you, Yumiko San, Aruma San, Mizuho San, Kodama San and all the other wonderful people that made my project possible. I could not have done this without you!


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by arcus4moriya | 2019-03-01 11:50 | AIR_2018 | Comments(0)
Information of Great East Japan Earthquake (March 1st, 2019)
These are information about Great East Japan Earthquake on the internet as reference data. Please refer to them.
毎年更新している東日本大震災(2011.3.11)以降の参照データです。


▶Japan Atomic industrial Forum_English
Daily updates on nuclear power station in Fukushima

Nuclear Power Plants in Japan (2019)

Licensing status of the Japanese nuclear facilities
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'Information on the Great East Japan Earthquake' by Ministry of
Economy, Trade and Industry


Reading of environmental radioactivity levelby Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology(MEXT)

Nuclear Regulation Authority_English

IAEA: International Atomic Energy Agency_English


The distance from FUKUSHIMA Nuclear Power Plants to IBARAKI, ARCUS
Studio in Moriya city

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by arcus4moriya | 2019-02-28 15:02 | AIR_2018 | Comments(0)
2/23 エクスチェンジ・レジデンシー・プログラム活動報告会 ① レズリー・ヤング Exchange Residency Program Activity Report 1 Lesley Young
2018年度のエクスチェンジ・レジデンシー・プログラムではスコットランドのアーティスト・イン・レジデンスHospitalfieldと連携して、アーティスト/キュレーターの派遣交換を行っています。夏にスコットランドへ1ヶ月派遣したアーティストの青柳菜摘さん、高川和也さんと、現在スコットランドからアーカスに招聘しているキュレーター レズリー・ヤング(現在はEdinburgh Sculpture Workshopのプロジェクト・コーディネーター)、今回のプログラムの推薦員を務めてくださったキュレーターの堀内奈穂子さんを交えて活動報告会を行いました。

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まずはレズリー・ヤングが彼女のスコットランドでのインディペンデント・キュレーターとしての経験を話します。

(以下ヤングのプレゼンテーションを大まかに日本語に訳しています。)


ヤング:私はギャラリーや美術館に所属するのではなく、友人や仲間のキュレーターとその都市のコンテクストに応じたプロジェクトを作ってきました。コンテクストとは、どんなギャラリーや美術館がアクティブか、彼らはどんな展覧会を作っているか、地元のアートスクールがどんな活動をしているか、加えて自治体が文化をどのように扱っているかなどです。

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(
2005-2010年はマンチェスターにてThe Salford Restoration Office、2017-c.2021年はグラスゴーにてChapter Thirteenをそれぞれ展開しています。)



私がThe Salford Restoration Officeをマンチェスターで始めた2005年当時は、労働党のトニー・ブレアが首相で、いわゆる「New Labour(新しい労働党)」(*労働組合の影響力を減らし、市場経済を重視した新たな方針)の政策が進められていた時期でした。
この政権は文化、アートや、クリエイティブ・インダストリーに対する支援を厚くすることで、しばしばアートを社会問題の解決策として利用しました。1970,80年代に産業の空洞化に苦しんだマンチェスターは、2005年までには「新しい労働党」の政策を受け入れ自らのイメージを文化を中心とした街へと一新していました。

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一方、Chapter Thirteenはもう一つの脱工業化を果たした都市グラスゴーを拠点にしています。2008年の金融危機の後、保守党政権下では緊縮財政政策により社会保障や文化事業予算は削減されていきました。

Chapter Thirteenをめぐる状況としては、2014年にスコットランド独立住民投票が行われています。(52:48という僅差で独立反対派の勝利。)独立に関する議論は人々の間で熱心に行われましたが、メインストリームのメディアがあまり利用されなかったことが特徴でした。なぜならメディアは独立の反対派へ偏っていると思われていたからです。この議論は今でも活発なので、数年後にまた同様の住民投票が行われるかもしれません。

また、2016年にはイギリスのEU離脱を問う国民投票が行われ、51.9:48.1で「離脱」が決定されましたが、スコットランドや北アイルランド、ロンドンやその他多くのイギリスの地域は「残留」に投票していました。

アーティストやその作品はこういった社会の出来事との連環の中にあり、互いに影響し合っています。
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(The Salford Restoration Officeで行われたマルクス『資本論』のリーディンググループ)


The Salford Restoration Officeは、2006年に、James Hutchinsonと、マンチェスターのヴィジュアルアートのインフラストラクチャーを批評するために発足したキュレトリアル・エージェンシーです。
展覧会やプロジェクトを通して美術館、ギャラリーが社会の中でどんな立ち位置を持っているか分析するよう促すものです。The Salford Restoration Officeは4年間の計画で始まりました。そのため、インフラがある特定の時期にどう機能していたか、また、それがどのように活用され得たかをスナップショットとして見せるようなものです。それは、空間の異なる使い方を提案することでアーティスト・ランのギャラリーにオルタナティブな立ち位置を与えました。

既存のマンチェスターの'インスティテューション'としてのインフラを使い、ハード面では既にあるギャラリースペースを利用、ソフト面ではアーティストなどを取り込んでいくことで、マンチェスターにある(アートと社会の)ギャップを埋めるにはどうしたらいいのかということに向き合い、展覧会やパブリック・アート、組織運営への介入を生み出していきました。マンチェスターという一つの都市に活動を限定しましたが、イギリス全土やヨーロッパのアーティストと活動しました。
また、活動期間は4-5年間だと決まっていたので、自分たちの力とお金を建物や施設といった恒久的なものではなく、アーティスト、インスティテューションとの関係性をつくるために使いました。

展覧会やプロジェクトでは、いつも既存の組織(美術館、ギャラリー、大学など)とパートナーシップを組んで動きました。パートナーとなるインスティテューションに予算やスタッフ、スペースを提供してもらい、私たちはアイデアを持ち込んで、そのパートナーの通常のルーティンに合わせて働きました。

The Salford Restoration Officeではジェレミー・デラー(Jeremy Deller)やアルトゥル・ジミェフスキ(Artur Zmijewski)といったアーティストとの展覧会を実現しています。

2人はともに'参加'ということに異なるやり方で取り組んでいるアーティストです。

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Jeremy Deller Procession



2016年には、4人のインディペンデント・キュレーターと一緒に
、グラスゴーにChapter Thirteenというキュレトリアルの協働組織を作りました。
スコットランドのアートシーンにおけるインスティテューションのあり方に多様性を加えるような組織です。これも4年間という一時的なプロジェクトの特性を生かして、メンバーのそれぞれの得意分野や適性、知識を活用するものです。

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(Chapter Thirteenのオフィススペース、展覧会スペースにもなる)
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レズリーの話は、自分たちでもインスティテューションに依らずに個人間の連帯で何かおもしろい企画をやってみようかな、という気にさせてくれます。


Chapter Thirteenという名前は、マルクス『資本論』の第13章、協同について書かれた章からとられているそうです。
この名前の由来には、短期の契約ベースという不安定な雇用形態で働くインディペンデント・キュレーター同士の連帯のために、というメッセージが込められているそうで、同じく労働環境の不安定な日本のアート業界でも、もっと声を上げていければと思いました。


今回は、来日直後の報告会となってしまったので、レズリーには自身の今までの活動について話してもらいましたが、今後の活動のヒントにしていきたいと思います。

次回のブログでは、青柳菜摘さんと高川和也さんのパートをご紹介します。
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by arcus4moriya | 2019-02-23 16:00 | AIR_2018 | Comments(0)
Erica van Loon's studio : OPEN STUDIOS
Erica van Loon [The Netherlands]

The Longest Wave We Surf

1. Statement by Erica van Loon
The Longest Waves We Surf reflects on ideas around ecology by relating physical movements of human and non-human bodies, it specifically focuses on movements with a cyclic character. Think of how slow earthquakes vibrate barely noticeable seismic waves throughout the body of the earth, at frequencies so low that we need to drill holes in mountains to sense them; of aikido movements that spiral and embrace, physically and philosophically; and an ant that lives high up in the canopy of tropical trees and that evolved techniques so she falls without ever hitting the ground.

The input for this project was gathered during my residency at ARCUS Project and during the Labverde Arts Immersion Program in the Brazilian Amazon, which I attended just before coming to Japan. The video installation I am developing at ARCUS Project combines images, text and sound inspired by these antipodes.

In part my research itself was physical; I recorded footage and was taught while sweating in the middle of the rainforest, training on tatami mats in the dojo and ascending sacred mountains. The installation invites the spectator to engage on a physical level as well.

2. Comment by Kodama Kanazawa
[ Guest Curator 2018 / Independent Curator/ Senior Deputy Director of Curatorial Affairs, Towada Art Center ]

Already strongly interested in the physical connection between human beings and the earth, Erica van Loon explored several different topics during her residency in Japan and conducted research on them at the same time. One of these was aikido. Van Loon actually received training in the martial art and learned some aikido moves. In aikido, you utilize your opponent’s energy to protect yourself. Van Loon said that she was impressed by the idea that “redirecting the rhythm and intent of someone’s movement enables you to attune to one another.” She also went to meet a seismologist in Tokyo and learned about slow earthquakes, which occur over the course of a few days, months or even years. Van Loon’s interest in the subject stemmed in part from the fact that she experienced her first earthquake during her residency. She also read up on Cephalotes atratus, a species of ant that she encountered during a stay in the Amazon just before coming to Japan. The ant lives its entire life on a tree. Whenever it is danger of falling, the creature glides through the air to change direction and jumps back toward the tree trunk.

Van Loon created a video installation made up of moving images and sound that deals with the ant’s behavior, the aikido technique of rotating the arm, and slow earthquakes, which extend throughout the world. Her presentation shows the outcome of her explorations into the dynamics of circulation in the ecosystem through both a scientific and physical approach.


Special Thanks:
Shinya Aoyama, Satoshi Ikeda, Kohei Kanomata, Takahiko Kamiyama, Joseph Kudirka, Cihad Caner, Tamaki Sugiyama, Hiroshi Sugiyama, Yukari Sugiyama, Tetsuya Suzuki, Yudai Suzuki, Erika Ceruzzi, Kaname Takahashi, Rintaro Takahashi, Masatoshi Tagami, Akiko Takeo, Curtis Tamm, Santiago Diaz Escamilla, Taeko Naruko, Rosie Heinrich, Fabricio Baccaro, Hirokazu Hayashi, Hiroshi Hara, Amy Pickles, Steve Yanoviak, Hideki Yamashita, Teruaki Yamanoi, Daisuke Watayo

North Ibaraki Geopark Promotion Council, North Ibaraki Geopark GeoNet HITACHI, Studio OZ, Tsukuba Aikido-kai, Tokyo University earthquake Research Institute, Labverde

青山 真也, 池田 哲, 鹿又 亘平, 神山 貴彦, ジョセフ・クディルカ, ジハド・ジャネル, 杉山 たまき, 杉山 洋, 杉山 ゆかり, 鈴木 哲也, 鈴木 雄大, エリカ・セルジ, 高橋 要, 高橋 臨太郎, 田上 正敏, 竹尾 明子, カーティス・タム, サンティアゴ・ディアス・エスカミリア, なるこ たえこ, ロジー・ハインリッチ, ファブリシオ・バッカロ, 林 宏和, 原 広, エイミー・ピクルス, スティーヴ・ヤノヴィアク, 山下 秀樹, 山野井 照顕, 済陽 大介

茨城県北ジオパーク推進協議会, 茨城県北ジオパーク ジオネット日立, スタジオOZ, つくば合気道会, 東京大学地震研究所, ラブヴェルデ

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                                 Photo by Hajime Kato



















by arcus4moriya | 2018-12-25 12:00 | AIR_2018 | Comments(0)
Erika Ceruzzi's Studio : OPEN STUDIOS
Erika Ceruzzi [USA]

F1

1. Statement by Erika Ceruzzi
F1 is an installation; an environment to experience my research surrounding transgenic silk in Japan. F1 temporarily replaces the room number of my studio 1 and refers to an F1 hybrid, which in biology, classifies the offspring of two distinct parental lines.

My interest in genetically modified silkworms began with a fascination of silk’s structural properties. It is a hyper strong yet delicate, biocompatible fiber. In the United States, silk is being developed as a potentially bulletproof material for the military. This is possible through genetic engineering of spider DNA within the organism of the domesticated silkworm (Bombyx mori).

During the course of my research, I discovered that the relationship between human and silkworm is intensely intimate.

For generations, even as raw silk became a major export and source of economic growth for Japan, silkworms were raised in people’s homes, in rural regions where the silk industry had taken root during the Meiji Restoration.

With optimal conditions in question, I invite the possibility of genetic entanglement between silkworm and human. The synthesis occurs not in a highly technical lab, but rather, in a kind-of residential research complex. It is a hypothetical space, incomplete, and stripped down as a mere framework for imagination. I’ve altered elements of the former classroom in order to subtly re-contextualize the environment into a domestic setting.


2. Comment by Kodama Kanazawa
[ Guest Curator 2018 / Independent curator / Senior Deputy Director of Curatorial Affairs, Towada Art Center]
After learning that silkworms were being genetically engineered to spin spider silk for the U.S. military, Erika Ceruzzi developed a strong interest in the political significance of the insect. During her residency in Japan, Ceruzzi discussed a variety of topics with the curator and the staff, including the long history of Chinese silk production, which began before the Common Era; the Silk Road, which connected various regions in Eurasia; and the role that the silk industry played in the modernization of Japan. She also considered some less apparent sides of the subject, such as the exploitation of female laborers and the study of silkworms in genetic technology. In addition, Ceruzzi made research trips to the Tomioka Silk Mill, an active silk mill and a silkworm farmer in Gunma, the Silk Museum in Yokohama, and the National Agriculture and Food Research Organization (NARO) to broaden her knowledge of silkworms, sericulture, and the relationship between people and the insects.

In Open Studios, Ceruzzi presented the results of her research in the form of an installation. One notable aspect of the display related to the phenomenon of double cocoons – a cocoon created by two silkworms that is normally not suitable for commercial use. Ceruzzi also fabricated slippers for her studio visitors – a reference to the slippers required to enter the laboratories at NARO. This suggests her sensitivity to local differences such as notions of hygiene and ritual behaviors.

You might say that Ceruzzi set out to discover the geographical, historical, and physical politics contained in the material silk (a fabric used to make sculpture) and its origins.


Special Thanks:
Tsunenori Kameda, Keiko Kimura, Kyoko Koshiishi, Cihad Caner, Tetsuya Suzuki, Curtis Tamm, Michiko Noguchi, Shinsuke Hayashi, Hiroshi Hara, Erica van Loon, Hideki Yamashita
亀田 恒徳, 木村 恵子, 輿石 京子, ジハド・ジャネル, 鈴木 哲也, カーティス・タム, 野口 美智子,
林 慎介, 原 広, イリカ・ファン・ローン, 山下 秀樹

Usuiseishi Co., Ltd., Silkworm Farmers in Gunma Prefecture, National Agriculture and Food Research Organization, Shiina Tatami, Tomioka Silk Mill
碓氷製糸株式会社, 群馬県の養蚕農家様, 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構, 椎名畳店, 富岡市・富岡製糸場

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photo: Hajime Kato










by arcus4moriya | 2018-12-25 11:23 | AIR_2018 | Comments(0)
Cihad Caner's studio : OPEN STUDIOS
Cihad Caner [Turkey]

Demonst(e)rating the untamable monster

1. Statement by Cihad Caner
The “others” of this story are monsters. Their frequented places are those that the maps do not show, the ships are not moored, and the compasses are surprised. It's a landless country. Where the world ends. Rumor has it that wild things live in a remote realm. These “other” figures are the inhabitants of the border region where the mind is weakened and fantasies flourish.

The monsters provoke us to break down our built-in categories and rethink. They threaten the known with unknown and leave us with fear and trembling. They are driven to hell or heaven, or they are driven out of the human community and sent to the land of foreigners. The body of the monster is a political claim on its own.

With its existence, it destroys all the assumptions that are fundamental to human beings and social stratification. The monster does not know paradise; it is not made of clay, so it cannot dream of returning to the dust.

The project focuses on the image of the “other” as monster that finds itself in the mechanisms of dominant image production with very specific images. The artist created fiction-animated avatars inspired from various monster illustrations in ancients manuscripts, Acaibu'l-Mahlukat ve Garaibu'l-Mevcudat by Zekeriya ibn Muhammed Qazwini, Siah-Qalam's drawings and Japanese yokais (monsters and supernatural characters) Gazu Hyakki Yagyō written by Sekien Toriyama.

2. Comment by Kodama Kanazawa
[ Guest Curator 2018 / Independent Curator/ Senior Deputy Director of Curatorial Affairs, Towada Art Center ]

Towns devastated by bombs, surges of refugees without any place to live, people in tears…. The more tragic photographs of reality are, the more readers they attract. Bewildered by the fact that news photographs are destined to include an element of entertainment, one-time photojournalist Cihad Caner began searching for another way to express reality.

In Japan, Caner experimented with a new approach by combining Mesopotamian monsters with traditional Japanese yokai (supernatural creatures). Monsters and yokai are “others” – symbols of incomprehensible entities emanating from the outside. By scrutinizing and digesting these forms, which were developed over hundreds of years, Caner attempts to convey certain realities that he has come to understand as an individual living in the present era.

For Open Studios, Caner wrote a story combining fictitious and factual information about yokai for a lecture performance. He will also screen 3D animated works in which characters that are an amalgam of 13th-century Mesopotamian monsters and traditional Japanese yokai let out agonized cries and sing. Searching for possibilities in the “translation” of these expressions, Caner provides encouragement to those who are confronted with cruel realities.


Special Thanks:
Satoshi Ikeda, Kiyoshi Ono, Tetsuya Suzuki, Erika Ceruzzi, Kaname Takahashi, Hiroshi Hara, Erica van Loon, Yukari Miyajima, Rin Miyajima, Kayoko Muraishi, Hideki Yamashita, Teruaki Yamanoi, Daisuke Watayo, Keiko Wachi, Ebuzer Caner, Zehra Güveli, Marta Ponsa, Seda Yildiz
Doronko Club, Meijin-Kai

池田 哲, 小野 清, 鈴木 哲也, エリカ・セルジ, 高橋 要, 原 広, イリカ・ファン・ローン, 宮嶋 ゆかり, 宮嶋 凛, 村石 かよ子, 山下 秀樹, 山野井 照顕, 済陽 大介, 和地 恵子, どろんこクラブ, 名人会

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                                 Photo by Hajime Kato

















by arcus4moriya | 2018-12-25 10:00 | AIR_2018 | Comments(0)
12/20 AIR Bridge「AIR事例紹介・意見交換会」_Reborn-Art Festival実行委員会(石巻)
みなさん、こんにちは。藤本です。
今年から始まった新事業、AIR Bridge第2回目について紹介します。舞台は宮城県石巻市。

AIR Bridgeとは、設立から25年目を迎えるアーカスプロジェクトの経験と歴史を元に、様々なアーティスト・イン・レジデンス運営団体、またはこれから運営を始めようとしている団体と協働することで、ノウハウを共有し、これからの互いの事業運営の発展に生かすことを目的とする事業です。
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AIR Bridge第2回目は、Reborn-Art Festival(以下、RAF)実行委員会の協力により「AIR事例紹介・意見交換会」を開催しました。RAF実行委員会の事務所をお借りし、RAF実行委員会事務局、石巻市役所、石巻実行委員会アートサポート部会の方々、アーティストの有馬かおるさん(現在、石巻拠点)らを対象に、アーティスト・イン・レジデンス事業の役割、アーカスプロジェクトやその他の多様なAIRの紹介をプレゼンテーション形式で発表し、その後ラウンドテーブルで、石巻市の現状のヒアリング・意見交換を行いました。
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Reborn-Art FestivalしてはAIR事業を実施してはいませんが、芸術祭にむけたアーティストの滞在制作、その後アーティストが長期滞在しながらその地域や人々に、よりコミットしながら制作活動を行うという状況も自然発生的におこっています。その状況はAIRとしてプログラム化はしていないものの、実際にはAIRそのものともいえます。
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将来的に、RAFでAIRを実施する状況も想像しつつ、まずは石巻の様々な立場の方々にAIRがどいうものなのかイメージを膨らませていただける会を設定しました。
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RAF実行委員会の事務局長、松村さんのご挨拶から会が始まりました。
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プレゼンテーション:
(なくてはならない)永遠のオルタナティヴ-アーティスト・イン・レジデンスをひらく-
1. アーティスト・イン・レジデンス(AIR)とは?

2. アーカスプロジェクトの事例

3. さまざまなAIRの形態(ライクスアカデミー、AIR Onomichi


AIRの起こりについて。
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現在多様化するAIRに共通する役割とは?ー2012年の文化庁の事業として「諸外国のアーティスト・イン・レジデンスについての調査研究事業」を委託されたニッセイ研究所の報告書「調査研究の総括的まとめ」で述べられている文章を参照しつつー

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さまざまなAIRの事例として、規模も指針も運営形態もさまざまな3団体、アーカスプロジェクト、ライクスアカデミー(Rijksakademie van Beeldende Kunsten、オランダ)、AIR Onomichi(広島)を紹介させていただきました。
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それを踏まえて、意見交換のパートに移行します。
「石巻には一体どんなAIRがあったらよいだろうか?」「石巻でしか実現できないAIRはどんなものだろうか?」
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建築に特化するのはどうか。長期滞在型が望ましい。RAFとの連携の可能性は?RAFで発表する作品のための滞在制作は?石巻には漫画の素地がある。漫画家を受け入れてきた経験がある。
などなど。街を様々な角度から見続ける参加者それぞれの意見がでました。

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みんなで話した趣旨と少しそれるかもしれませんが、日本では、その場所性を重要視するAIRや、サイトスペシフィックな作品制作への期待が大きく、拠点が移動してしまったら全く機能しなくなる/別物になってしまうケースが多いように感じます。(もしくは、拠点変わることをあまり想定していないケース。)
でも世界に目をむけると、場所(拠点)を移動しながらAIRを継続している団体もあります。場所が変わっても団体が大事にしているアイデンティティを変えないことは可能なのです。

アーカスプロジェクトは守谷に拠点を構えて25年がたちました。拠点が変わらないことで得られるメリットはとてもたくさんあります。アーティストが再び訪れやすいことや、地域に定着しやすいこと、また一定の信頼と安定感をえられることなど...。
でも同時に、場所に頼りすぎない指針をもつこと、その指針を守りながら時代に合わせて新しいアイディアを生み出すことも大切です。

結局、今回の石巻滞在からアーカスが学ぶことの方が多かったように思います。

AIRはアーティストやクリエイターのための場所。
その波及効果として、アーティストだけでなく、彼らを取り巻く人々や社会、国際社会に変化がもたらされる。
そうであるべきだと思っています。
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石巻の皆様、どうもありがとうございました。またお会いしましょう!










by arcus4moriya | 2018-12-20 10:30 | AIR_2018 | Comments(0)
11/2 エリカ 【群馬リサーチトリップ②】 碓氷製糸株式会社 工場見学 Erika - Visit to Usui Silk Mill -
エリカの群馬リサーチトリップ2日目の訪問先は安中市の碓氷製糸株式会社です。
             
碓氷製糸株式会社は日本でただ2軒だけ残っている現在も稼働している製糸工場のうちの1つです。
群馬県の山あいの静かな場所にありました。

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まずは一通り繭が生糸になるまでの工程をご説明いただきました。
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農家から工場に届けられた繭はこのベルトコンベヤーに乗って工場の奥へ運ばれます。
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ここで袋から繭を取り出し、床の穴から次の工程の部屋へと落とすことができます。
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こちらの工場では、今はもう廃業してしまった他の製糸場で使われていた袋が保管されていました。
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質の悪い繭を取り除く工程です。

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いよいよ繭から生糸を縒る自動繰糸機のある部屋へ。
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この部屋は繰糸機の稼働する音と、お湯から発生する蒸気が充満していました。

お湯を使って繭糸をやわらげ、機械に取り付けられているイネでできたミゴボウキでこすることで繭糸の始まりを見つけます。
そうして繭糸の始まりが見つかれば、目的の太さに合わせて何個かの繭糸をよって1本の生糸にします。

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これは通常より太めの糸をよる機械。


ちなみに、繭の中に入っていた蚕のさなぎは、ゴミになることはなく魚の養殖の餌などに再利用されます。


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小枠(スプール状のもの)に巻き取られた生糸を整える作業「揚返し」


以上が製糸場で行われる繭から生糸を生産するまでの工程です。

生糸とシルクが別物であることはご存知でしたか?
生糸とは繭糸を何本か集めて1本の糸にしたもの。
シルクとは生糸をさらに精錬(生糸の外周を覆っているセリシンというタンパク質を取り除く)し、光沢を出した糸です。



さまざまな種類の生糸やシルク
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いろいろな品種の蚕
品種によって取れる生糸の性質が変わります。



蚕と人間の歴史は数千年あるだけあって、さすが絹産業は奥が深いです。
アーティストにとっては調べれば調べるほど行きたいところ、話してみたい人が出てくるリサーチトピックです。

これまで群馬のリサーチトリップでは、蚕を卵から育てる養蚕農家と、農家が収穫した繭を生糸へ加工する製糸場を見学しました。

次回はいよいよ日本の近代化の原動力となった富岡製糸場へ向かいます。










by arcus4moriya | 2018-11-02 19:40 | AIR_2018 | Comments(0)
11/1 エリカ 【群馬リサーチトリップ①】 養蚕農家視察 Erika - visit to silkworm farmers in Gunma-
先日の農研機構でのラボという人工的な環境で飼育されている蚕の視察(10/3のブログ)を経て、エリカの関心は伝統的な農法で蚕を飼育している農家へと向かいました。
そこで農研機構の方に群馬の養蚕農家さんをご紹介いただきました。

この日から、養蚕農家、富岡製糸場、現在も稼働している製糸場を巡る2日間の群馬リサーチトリップの始まりです。


まず訪れたのは、何十年も養蚕業に携われているご夫婦の農家さんのお宅です。

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蚕がいなくなったあとの桑です

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黒く見えているのは蚕の糞


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蚕だけを残して桑の葉などを振り落とす機械

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1階で桑を食べる期間を終え、繭を作り始める段階になると2階へ移されます。
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回転蔟(まぶし)を用いた自然上蔟(じょうぞく)法


蚕には上へと上がっていく性質があり、回転する蔟を使用することで、繭が尿などで汚れるのを防ぐことができます。


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養蚕業は家内工業で数十年前は農家は家の中で蚕を飼っていました。
同じ一つ屋根の下に蚕と住み、繭を作る時期になるとできるだけ広いスペースを蚕にとれるように人間は寄せ集まって眠り、蚕たちた繭を作る「さわさわ」という音を子守唄代わりに眠ったとおっしゃっていました。

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ちなみにここでは農研機構で開発されている蛍光グリーンに光る蚕が飼育されています。

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繭の中の蚕が透けているのが分かりますか?
みんなより繭作りが遅れている蚕がいました。


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繭の中では蚕がさなぎになっています。

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玉繭といって、誤って同じ枠に2頭が入ってしまった場合2頭で1つの繭を作る場合があります。
玉繭になるのは全体の2-3%ほど。


通常、繭からは1本(厳密には2本のフィブロインとそれを覆うセリシンから成る)の長い糸(1300m-1500mほど)が取れます。
玉繭になってしまうと2頭がそれぞれ作った2本の糸が絡まってしまいきれいな糸が作れないので、くず繭になります。
ただし、石川県の牛首紬などでは、この珍しい玉繭を使って織物を作っているそうです。


エリカはこの2頭で絡み合った繭を作るという玉繭に感動していました。
具体的な作品のモチーフに使えないかと考えているようです。

















by arcus4moriya | 2018-11-01 14:53 | AIR_2018 | Comments(0)


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