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2/23 エクスチェンジ・レジデンシー・プログラム活動報告会 ① レズリー・ヤング Exchange Residency Program Activity Report 1 Lesley Young
2018年度のエクスチェンジ・レジデンシー・プログラムではスコットランドのアーティスト・イン・レジデンスHospitalfieldと連携して、アーティスト/キュレーターの派遣交換を行っています。夏にスコットランドへ1ヶ月派遣したアーティストの青柳菜摘さん、高川和也さんと、現在スコットランドからアーカスに招聘しているキュレーター レズリー・ヤング(現在はEdinburgh Sculpture Workshopのプロジェクト・コーディネーター)、今回のプログラムの推薦員を務めてくださったキュレーターの堀内奈穂子さんを交えて活動報告会を行いました。

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まずはレズリー・ヤングが彼女のスコットランドでのインディペンデント・キュレーターとしての経験を話します。

(以下ヤングのプレゼンテーションを大まかに日本語に訳しています。)


ヤング:私はギャラリーや美術館に所属するのではなく、友人や仲間のキュレーターとその都市のコンテクストに応じたプロジェクトを作ってきました。コンテクストとは、どんなギャラリーや美術館がアクティブか、彼らはどんな展覧会を作っているか、地元のアートスクールがどんな活動をしているか、加えて自治体が文化をどのように扱っているかなどです。

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(
2005-2010年はマンチェスターにてThe Salford Restoration Office、2017-c.2021年はグラスゴーにてChapter Thirteenをそれぞれ展開しています。)



私がThe Salford Restoration Officeをマンチェスターで始めた2005年当時は、労働党のトニー・ブレアが首相で、いわゆる「New Labour(新しい労働党)」(*労働組合の影響力を減らし、市場経済を重視した新たな方針)の政策が進められていた時期でした。
この政権は文化、アートや、クリエイティブ・インダストリーに対する支援を厚くすることで、しばしばアートを社会問題の解決策として利用しました。1970,80年代に産業の空洞化に苦しんだマンチェスターは、2005年までには「新しい労働党」の政策を受け入れ自らのイメージを文化を中心とした街へと一新していました。

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一方、Chapter Thirteenはもう一つの脱工業化を果たした都市グラスゴーを拠点にしています。2008年の金融危機の後、保守党政権下では緊縮財政政策により社会保障や文化事業予算は削減されていきました。

Chapter Thirteenをめぐる状況としては、2014年にスコットランド独立住民投票が行われています。(52:48という僅差で独立反対派の勝利。)独立に関する議論は人々の間で熱心に行われましたが、メインストリームのメディアがあまり利用されなかったことが特徴でした。なぜならメディアは独立の反対派へ偏っていると思われていたからです。この議論は今でも活発なので、数年後にまた同様の住民投票が行われるかもしれません。

また、2016年にはイギリスのEU離脱を問う国民投票が行われ、51.9:48.1で「離脱」が決定されましたが、スコットランドや北アイルランド、ロンドンやその他多くのイギリスの地域は「残留」に投票していました。

アーティストやその作品はこういった社会の出来事との連環の中にあり、互いに影響し合っています。
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(The Salford Restoration Officeで行われたマルクス『資本論』のリーディンググループ)


The Salford Restoration Officeは、2006年に、James Hutchinsonと、マンチェスターのヴィジュアルアートのインフラストラクチャーを批評するために発足したキュレトリアル・エージェンシーです。
展覧会やプロジェクトを通して美術館、ギャラリーが社会の中でどんな立ち位置を持っているか分析するよう促すものです。The Salford Restoration Officeは4年間の計画で始まりました。そのため、インフラがある特定の時期にどう機能していたか、また、それがどのように活用され得たかをスナップショットとして見せるようなものです。それは、空間の異なる使い方を提案することでアーティスト・ランのギャラリーにオルタナティブな立ち位置を与えました。

既存のマンチェスターの'インスティテューション'としてのインフラを使い、ハード面では既にあるギャラリースペースを利用、ソフト面ではアーティストなどを取り込んでいくことで、マンチェスターにある(アートと社会の)ギャップを埋めるにはどうしたらいいのかということに向き合い、展覧会やパブリック・アート、組織運営への介入を生み出していきました。マンチェスターという一つの都市に活動を限定しましたが、イギリス全土やヨーロッパのアーティストと活動しました。
また、活動期間は4-5年間だと決まっていたので、自分たちの力とお金を建物や施設といった恒久的なものではなく、アーティスト、インスティテューションとの関係性をつくるために使いました。

展覧会やプロジェクトでは、いつも既存の組織(美術館、ギャラリー、大学など)とパートナーシップを組んで動きました。パートナーとなるインスティテューションに予算やスタッフ、スペースを提供してもらい、私たちはアイデアを持ち込んで、そのパートナーの通常のルーティンに合わせて働きました。

The Salford Restoration Officeではジェレミー・デラー(Jeremy Deller)やアルトゥル・ジミェフスキ(Artur Zmijewski)といったアーティストとの展覧会を実現しています。

2人はともに'参加'ということに異なるやり方で取り組んでいるアーティストです。

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Jeremy Deller Procession



2016年には、4人のインディペンデント・キュレーターと一緒に
、グラスゴーにChapter Thirteenというキュレトリアルの協働組織を作りました。
スコットランドのアートシーンにおけるインスティテューションのあり方に多様性を加えるような組織です。これも4年間という一時的なプロジェクトの特性を生かして、メンバーのそれぞれの得意分野や適性、知識を活用するものです。

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(Chapter Thirteenのオフィススペース、展覧会スペースにもなる)
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レズリーの話は、自分たちでもインスティテューションに依らずに個人間の連帯で何かおもしろい企画をやってみようかな、という気にさせてくれます。


Chapter Thirteenという名前は、マルクス『資本論』の第13章、協同について書かれた章からとられているそうです。
この名前の由来には、短期の契約ベースという不安定な雇用形態で働くインディペンデント・キュレーター同士の連帯のために、というメッセージが込められているそうで、同じく労働環境の不安定な日本のアート業界でも、もっと声を上げていければと思いました。


今回は、来日直後の報告会となってしまったので、レズリーには自身の今までの活動について話してもらいましたが、今後の活動のヒントにしていきたいと思います。

次回のブログでは、青柳菜摘さんと高川和也さんのパートをご紹介します。
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by arcus4moriya | 2019-02-23 16:00 | AIR_2018 | Comments(0)
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