(遺伝子組換え技術では他の生物の遺伝子を蚕に組み合わせているのではなく、ある必要なタンパク質を組み合わせています。) 人間が地球全体の環境に多大な影響力を持つ時代にあって、「自然をコントロールする理性的な人間」という主体を解体し、人間と他の生物/非生物との相互依存/互恵関係を見つめることで、いかに彼らとよく生き/死ぬかということを想像することが求められています。 人間の体がシルクという素材(蚕)をどのように受け入れるのか(accept)というエリカの関心に対して、亀田さんは、研究では「受け入れる(accept)」という言葉ではなく、人間の体が「無視することができる(negligible)」という言葉で表現していると言われていたのが印象的でした。 「無視することができて」かつ共に存在するとはどのようなあり方なのでしょうか。 この日見学は4時間にも渡り、亀田さん始め農研機構の方々のおかげでエリカは大変充実した時間を過ごすことができました。 ついに叶った遺伝子組換え蚕との邂逅は、大きなインスピレーション源になったようで、帰りの車の中では、これからのプロジェクトの進め方を興奮気味に話していました。 これからどのようにリサーチが展開していくのでしょうか。 エリカのリサーチを構成する重要な思想家にダナ・ハラウェイがいます。 彼女は80年代に発表した「サイボーグ宣言」で知られていましたが、近年は人間と動物や、バクテリアなどの有機物、無機物との関係性を再考する思想を精力的に発表しています。 特に2016年に出版された最新の著作『Staying with the Trouble: Making Kin in the Chthulucene』がエリカの活動を考える上で重要ですが、まだ日本語訳が出版されていません。 それ以前の著作『犬と人が出会うとき 異種協働のポリティクス』でもハラウェイの人間と動物とのオルタナティブな関係性についての思想に触れることができます。 もしくは『現代思想 2017年12月号人新世 ―地質年代が示す人類と地球の未来―』では最近の論文の邦訳が掲載されているので、エリカのリサーチに興味を持たれた方はぜひチェックしてみてください。 #
by arcus4moriya
| 2018-10-03 16:29
| AIR_2018
イリカは地球の活動と人間の体との目に見えない関係をリサーチしているのですが、来日前より合気道に関心を持っていました。
そこで、守谷にあるつくば合気道会の守谷鈴木道場へ体験へ伺うことになりました。 相手との手の組み合わせ方、また回転する動きが多いことが印象に残ったようです。 敵を倒すのではなく、敵のエネルギーを転換するといった考え方にも共鳴するところがあるようでした。 約1時間の練習を終えたイリカは今後道場へ通うことを検討しています。 この体験がどのように制作に生かされていくのでしょうか。 #
by arcus4moriya
| 2018-09-16 16:20
| AIR_2018
アメリカから来たアーティスト、エリカ・セルジは遺伝子組換え蚕について調べています。
特に、自然界で最も強いというクモの糸を作ることのできる蚕に興味があるのですが、彼女の関心の発端はアメリカでクレイグ・バイオクラフト・ラボラトリーズ社 (Kraig Biocraft Laboratories, Inc.) が防弾機能のあるスパイダーシルクを開発しているという情報を知ったことに始まります。 アーカスプロジェクトでの彼女のプロポーザルは、日本で遺伝子組換え蚕を開発している研究所を訪問すること、日本で開発されている遺伝子組換え蚕はどのような用途を目的にしているのか、また、日本の近代化を担った絹産業の歴史とその文化などについて調べることです。 訪問先としては、遺伝子組換え蚕を開発しているつくばの研究所や、富岡製糸場などを予定しています。 さて、アーカスプロジェクトでは毎月市内広報紙『広報もりや』でアーティストの活動などを紹介しているのですが、その記事を読んでエリカが遺伝子組換え蚕についてリサーチしていることを知った守谷の方がご自身の知っている情報を提供しにスタジオまでおいでくださいました。 蚕から医療用に抗体を生成する研究などを行っている製薬会社にお勤めされています。 まだ彼女のリサーチは始まったばかりですがどのように展開していくのかこれから楽しみです。 #
by arcus4moriya
| 2018-09-15 18:08
| AIR_2018
来日してからあっという間に1ヶ月が過ぎました。その間、地震や台風など、自然災害にも見舞われ 落ち着かないひと月だったように感じます。災害に遭われた地域の皆様へ心よりお見舞い申し上げます。 これをアップしている今はすでに10月。実は9月末には更新予定でしたが、予定通りにいかないのはレジデンスが始まった証拠ですね。 また今週台風25号が来るらしいのですが、季節もだんだん涼しく秋らしくなってきました。 アーティストたちはそれぞれにリサーチを進めています。 ここで8月末に開催されたアーティスト歓迎オープニングレセプションの様子を。 写真は加藤甫さんです。 この日は夕刻から激しい雨に見舞われましたが、多くのお客様にお越しいただきました。来賓の皆様にもスピーチをいただき、今年度のアーカスプロジェクト2018いばらき アーティスト・イン・レジデンスプログラムのスタートです。 まずはアーカスプロジェクト実行委員会会長の大井川知事からご挨拶。 そして、当日はお越しいただくことができなかったのですが、今年度ゲストキュレーターの金澤韻さんもご紹介させていただきました。 今年は多くの協賛企業・団体様にもご参席いただきました。 山出さんといえば、いま別府でアニシュ・カプーアin別府 を展開されています。守谷から世界的に活躍するアーティストを輩出しているという実績を活かし、その成果を、スタジオからもどんどん発信していきたいと思いました。 本ブログでもこの事業を支えてくださっている協賛企業様はじめ、諸団体をこの場でご紹介させていただきます。 株式会社壁工房様、関東鉄道株式会社様、守谷市商工会様、株式会社つくば研究支援センター様、茨城県信用保証協会様、中央労働金庫様、株式会社ポートオーソリティ様、茨城みなみ農業共同組合様、株式会社千葉銀行様、株式会社三井住友銀行様、つくば国際大学東風小学校様、Hair Studio Faith様 助成:平成30年度 文化庁アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業 後援:国際交流基金、オランダ王国大使館 などなど、まだここには書ききれないほど、多くの方々や協力団体様に支えられて毎年運営させていただいております。 皆様の支援のおかげです。ありがとうございます。 アーカスプロジェクトでは、企業・団体様のみならず事業期間中はいつでも、アーカスプロジェクトの活動にご賛同いただけるよう、個人様から(1口1000円)募らせていただいております。詳しくはこちらをどうぞ。 ありがとうございます! 夏野菜とハニーマスタードチキンのサラダ ご来場ただいた、普段からお世話になっている市民サークルの皆様やアート団体、そして大使館関係者やサポーターの皆様には、これまでのアーカスプロジェクトの活動もご紹介しました。ソンミン・アンの「be true to your school」に見入る方も。 南條さんとも記念に。 今回、茨城県庁職員および守谷市生涯学習課職員の皆さんと全パーティーの準備をしました。またサポーターの皆様にもお手伝いいただきました。 悪天候のなかお越しいただいたサポーターの皆様、ありがとうございました。 #
by arcus4moriya
| 2018-08-31 00:03
| AIR_2018
皆様こんにちは、コーディネーターの石井です。 今年度のアーティスト・イン・レジデンス(以下AIR)プログラムが8月24日からスタートしました。 今年は85カ国・地域から665件の応募がありました。今年度はじめて年齢制限を公募条件に追加したためか昨年度の過去最多数記録の717件よりは減ったものの、それでも想定外の650件以上の応募があり、ゲストキュレーターの金澤韻さんと実行委員会、アドヴァイザーとの厳正なる審査の結果、3名が選出されました。 上の写真の左から、 イリカ・ファン・ローン[オランダ]、エリカ・セルジ[米国]、ジハド・ジャネル[トルコ]の3名です。 今年もたくさんの応募があり、ユニットやグループ、またロシアやアメリカの応募も多く、表現の多様性の変化にも新しい発見がありました。選出理由についてはホームページのゲストキュレーターのコメントをごらんください。 台風20号の到来とともに、8月24日に無事来日した彼ら。 まずは食料と生活用品の調達に近くのスーパーへ。日用品も食品も日本語表記の多い(=英語表記の少ない)日本。1コーディネーターに1アーティストがついて時短で買い物を済ませます。 「アレッポの石鹸」がシリア製とトルコ製のがある!と盛り上がる一コマ。ジャーナリストだったジハドが発見しました。些細なことですが、生活用具ひとつ買うにも、リモコンひとつ使うにも、電化製品や商品に英字表記の少ない日本で生活するには確認しながら購入したり試す、といったアシストが必要です。毎度の曜日ごとに分けられているゴミ袋の分別もしかり。です。赤はBurnable(可燃), 青はUnburnable(不燃), 緑はRecyclie Plastics, PETbottles, Cans, Bottlesと区分けがいっぱい。(それが海外からきた彼らには一番の衝撃らしいです) 最初にゲストキュレーターの金澤韻さんとの初対面。 8月28日(火)、まだ少しだけぎこちない感じの3人がそろい、それぞれのこれまでの活動をプレゼンしました。 お互いの作品を知ったプレゼンのあと、各スタジオにて金澤さんと面談。そうそう、アーカスでのレジデンスが始まると必ずおこなう選択に自転車選びとスタジオ選びがあります。アーティストたちはプロポーザルと来日してからの計画を丹念に金澤さんやスタッフらと共有します。そこからどう進めていくか、アドヴァイスを受けます。 そして。生活面のサポートでは、こちらも毎年恒例のオリエンテーション。 守谷市役所の国際交流員ルイーザさん(写真右)と、茨城県国際課職員のグロリア・チェンさんに茨城県での生活や日本では必ずある自然災害に関する情報、防災についてのオリエンテーションを行ってもらい、もしもに備える様々な情報を提供していただきました。もちろん、茨城県の観光情報や特産、地域的な特徴も知ることができます。 8月29日(水)にはこの110日間、滞在先としてお世話になる守谷市の松丸市長に表敬訪問。アーティストたちはアーカスの宣伝ブースがあることを発見し、記念撮影。 ....こうして、来日後からあっという間の1週間が過ぎて行きました。 公にお披露目となるオープニングレセプションは8月31日(金)にログハウスで開催されました。その際にはアドヴァイザーの南條さんともご対面。 ちょっと最初の報告がまた長くなってきましたので、その様子はまた次のブログでお知らせします!皆様、3人を宜しくお願いいたします。 #
by arcus4moriya
| 2018-08-28 14:25
| AIR_2018
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