ティモテウスのスタジオ:OPEN STUDIOS
ティモテウス・アンガワン・クスノ [インドネシア]

何を覚えていたか忘れた

1.ティモテウス・アンガワン・クスノによるステイトメント

レジデンスプログラムの期間中、私は人々から物語、記憶、また秘められた質問を「Lost and Found and Lost and What Department (LFLW : 失くして見つけて失くしてそれからどうなる課)」を通じて集めてきました。LFLWは、私のスタジオ内に設立された架空の機関です。私はここで集めた物語に手を加え、参加可能なインスタレーションとして疑問を掲げます。LFLWはオープンスタジオ会期中にオープンしています。同じ部屋を時間帯で分けて活動展開することで、「忘れる事」、「思い出す事」に区切りをつけ、対比を浮き上がらせます。昼間にスタジオは「フォゲッティング&リメンバリングクラブ」となり、夜には「ロスト アンド ファウンド&ロスト アンド カラオケクラブ」へと替わります。

昼間だけオープンしている「フォゲッティング&リメンバリングクラブ」では、スタジオで用意している材料を使って参加者自身の物語を共有することができます。そして、日が沈んでからは「ロスト アンド ファウンド&ロスト アンド カラオケクラブ」となり、どなたでもご参加いただけるステージを用意しています。オープンスタジオ最終日には、この「失くして見つけて失くしてそれからどうなる課:LFLW」の「ロスト アンド ファウンド&ロスト アンド カラオケクラブ」にてDJパーティーを行う予定です。

この制作は「Remembering and Forgetting as Social Institution」(1990年)について議論したジョン・ショッター(John Shotter)への応答です。一方で、この制作は過去2年間に私が取り組んできた「歴史上の架空の物語」を展開する既存の方法へ挑戦する実験でもあります。過去に私は、「架空の物語」を歴史に加えることで、語られることのない集合的な記憶を記録する実験を試みてきました。今回の滞在では、実際に語られた記憶を集める方法を優先的に行い、仮説(またはフィクションと思われるもの)を通して課題を投げかけることを試しています。


2. 飯田志保子氏によるコメント [ ゲストキュレーター 2015 / キュレーター / 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授 ]
アンガワン・クスノがこのたびスタジオ内に仮設した「Lost and Found and Lost and What Department (LFLW:失くして見つけて失くしてそれからどうなる課)」は、オープンスタジオ期間中の日中だけ開設する架空の施設である。彼が守谷市民に依頼した秘密の質問状に寄せられた匿名の回答、戦争体験についての対面インタヴュー、そして戦後日本の状況や地域史に関する調査を基にしたこの施設は、クスノが滞在中に収集した個人史の集積で出来ている。彼は滞在当初から率直に、戦後から現在に至る日本社会と政治状況の変化や、大きな転換期を経た現代人の問題意識の所在といった、答えるのが難しい大きな問いを周囲に投げかけてきた。根底には、翻って自国インドネシアが抱える植民地時代の空白と戦後の近代史を日本と比較し、グローバルな文脈で相対化して考察しようとするクスノの関心が垣間見える。タイトルの《何を覚えていたか忘れた》は、私たちが「過去をすぐに忘れる」ことに由来している。だがLFLWはそれを批判するのでもジャーナリスティックに提示するのでもなく、クスノの感性と遊び心に彩られた徹頭徹尾フィクショナルな場として、語られなかった記憶を共有するために作られた。そこには歴史の隙間からフィクションを生み出すクスノのアーティスティックな手腕が発揮されている。



Special Thanks:
榎本 勝男、榎本 みよ子、現王園 セヴィン、岐阜 彫秀、堀 浩、ブリジッタ・イサベラ、加藤 希美、河合 幹貴、レギナ・ニャマン、中村 亮子、 中野 寿楼、中田 貴士、小川 紘平、大嶋 辰男、太田 エマ、田原 智美、髙橋 要、松下 ハリッグ 祥子、山野井 照顕、 山下 秀樹、Family Martの榎田さん、
そして尊敬すべき匿名ハガキの送り主の皆様


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撮影:加藤 甫
                                                                                                                                                                                                                                             
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by arcus4moriya | 2015-11-23 12:01 | AIR | Comments(0)
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