オープンディスカッション「作品のかたち-実践から保存」
アーカスプロジェクトでは毎年、オープンスタジオの開催にあわせて、アーティストやキュレーター、批評家などアート関係者をお招きし、トークイベントやディスカッションなど同時開催しています。

今年度も2回目のオープンスタジオ、OPEN STUDIOS 02 開催にあわせ、関連企画としてオープンディスカッション『作品のかたち-実践から保存』までを行いました。

a0216706_20372088.jpg


ディスカッションでは、今年度のゲストキュレーター西川美穂子さん(東京都現代美術館学芸員)にモデレーターを務めて頂き、ゲストとして4人の方をお招きしました。

アーティストコレクティブとして活動されているNadegata Instant Party[中崎透+山城大督+野田智子]のメンバー、アートマネジャーの野田智子さん、アーティスト・イン・レジンデンスを運営されている青森公立大学国際芸術センター青森[ACAC] から
学芸員の服部浩之さん、無人島プロダクションの代表、藤城里香さん、そして慶應義塾大学アート・センターでアーカイヴについて研究されている上崎千さん、4人にパネリストとしてお越し頂きました。

a0216706_2038998.jpg



今回のディスカッションでは、現在のアート作品をとりまく状況から、作品の形態、展示、収集、保存について議論は展開されました。
3時間にも及ぶ議論の全体は、議題は多岐にわたり、ひとつの問題が別の問題へと複雑にからまりながら話は進行したため、なかなか全貌をお伝えすることは難しいのですが、
簡単にどのような話がなされたのかを挙げていきます。


まずは今回の議論の導入として、西川氏から2012年に東京都現代美術館で行われた企画展「MOTアニュアル2012 Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」の紹介が行われました。そこから、その展覧会に参加したアーティストたち、今回のアーカスプロジェクトのレジデントアーティスト、さらに現在活動しているアーティストたちの制作方法、作品の形式は、従来の彫刻や絵画といった既存の形式から離れ、多様化していること。作品が複雑化し、ひとつの形には留まらないプロジェクトが増えていることが挙げられました。

a0216706_20384123.jpg


そこから、このように多様化し、複雑化する作品、活動、プロジェクトをどのように記録し、収集し、保存するのか、どのように受容するのかについてを話し合うことを目的に、今回の議論の場が組まれたということを言って頂きました。

議論の始まりとして、野田さんからナデガタインスタントパーティーの活動、シュチュエーション・スペシフィック(現場の状況にあわせた作品のつくりかた)という手法やプロジェクト型と呼ばれる作品が紹介されました。

a0216706_2039561.jpg


その話をうけ、上崎さんから歴史的背景として、プロジェクト型の作品が成立してきた背景、また今日的な展覧会におけるアーティストとキュレーターの役割の分化、未分化という問題が提議されました。

a0216706_20393459.jpg


そこから、展覧会、展示の設計という話へとなり、服部さんのキュレーションの方法論へと話がつながりました。
服部さんは大学で建築を学ばれたということもあり、服部さんご自身のキューレーションの方法論と建築設計の方法論の関わりについてお話頂きました。またACACもレジデンス施設ということから、アーティストと作品をつくりあげる、設計し制作していくことについて話がありました。

a0216706_20395780.jpg


その際、歴史的背景として浮かびあがるのが現在のアーティストたちは、展覧会において新作の制作を依頼されるということが挙げられました。
そこから話は現代の作家、また制作に携わる人は作品の可変性、出来事、場所ごとに変化しつつも、同じ強度、自立性をもつような作品をつくっていること。ここで藤崎さんからは美術館や、展示空間などからの多様な要望に答えるため、またアート作品の形に可変性をもたすためにもアクセスポイントの多さをつくることの重要性が話にでます。

a0216706_20402540.jpg


そのような、現在的なアート作品のありかたについて話は展開していきました。

作品が可変となり、場所性や状況によって変化するとした場合、今度は観客の創造性が試される、観客と作者が逆転することもあり、作品をとりまく関係性は現代ではひろがっていること、関係者の広がりにあわせて作品が更に変化している現状についてなどいった問題も。

そして、話はまた同じ箇所へと戻るかのように、では変化し続ける作品制作は、いつ作品として成立するのかという議題へと戻っていきます。
更には、美術館という場所、展覧会という形式における作品と、そうではない場所、制作現場などでアーティストが制作を離れ、作品となったと判断を下す状況へと話は展開していきました。

a0216706_2041197.jpg



ここで一度、休憩。



後半は、前半で議論の中心となった「作品」、複雑化し変化する作品をどのように保存するかについて議論は進みました。
また始めの導入として、東京都現代美術館でのナデガタインスタントパーティーの作品の収集、コレクションにまつわる話を野田さん、西川さんからして頂きました。その際、問題となったのは、プロジェクト型の作品であり、大きなインスタレーション作品でもあるこの作品から、なにを収集物とするのか(全部の要素を収集するのは物理的に不可能)、耐久性の問題、また多くの参加者、関係者を巻き込んだ作品であるため、だれの作品であるのか、ということでした。

a0216706_20415388.jpg

a0216706_20423763.jpg


その後、プロジェクト型、ミュージアムピース、作品のプロセスといった話に絡めて、現在における美術館の制度的な面白さや課題、更にはテートモダンが取組んでいる、作品に時間を内包する作品(消えてなくなってしまうことが前提となっているもの、展示回数が制限されているもの)の収集するプロジェクトを参考にしつつ、作品の再現性を確保する方法論や、オリジナルの状態を保つことの限界性や、作品をコレクションすることの難しさなどが議題になりました。
アーティストの活動、美術館の活動の重要事項に、残すこと、歴史化することが挙げられますが、一体何を残すかという問題から、何が残っているのか、そして残った物をどのように想像的に受け取るかという考えも議題にあがりました。

a0216706_2043440.jpg


話はまだまだ色々な話題に接続し、展開していく様相を呈していましたが、残念ながら3時間はあっというまに過ぎてしまい、議題は次の機会へと引き継がれました。

(Photo by Hajime Kato)
[PR]
by arcus4moriya | 2014-11-16 20:00 | AIR | Comments(0)
<< クロージングパーティ:OPEN... Constantinos... >>


S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
全体
AIR
地域とアート
オープンラジオ
アーティスト・イン・スクール
HIBINO HOSPITAL
だいちの星座
ロッカールーム
アーカスの日常
スタジオ来訪者数
2009〜2010
未分類
外部リンク
検索
ARCUS Twitter
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧